重量698gの実現はタイトなスケジュールだった!?
――今回、開発で苦労した点がありましたらお願いします
野田氏 さらなる軽量化を図るというところで、まず何グラムに設定しようかという話がありました。企画側の立場からすると軽ければ軽いほどいいんですけど、作る側は簡単に「じゃあ、そうしましょう」とはいきませんからね。
前モデルの748gに対して、他社の追従を許さない、お客様にも驚きを与えられる重量として 今回は「700gを切る」というのを設定しました。その決断が、企画側として苦労しました。
――700g切りは相当なインパクトがありましたよね。PCもついにここまで的な
野田氏 特に今回は「圧倒的な軽さ」を目指していたので、インパクトのあるところで700g切りを掲げました。作る側は大変だったと思いますけど(笑)
――700g切りという目標が設定されて、実際にどうだったのですか?
高橋氏 構造設計の部隊としては常に「どうすれば軽くできるか」という点を追いかけてたんですけど、設計のCADレベルで試算をして700g前半ぐらいが見えたところで企画がスタートしました。パーツの動作確認の1次試作を経て2次試作のときにはじめてノートとしての状態になるんですけど、その時点で700gちょうどくらいだったんですよ。でもこれは塗装していない状態で、塗装すると塗料のぶん重量がかさむんですよね。これはマズイなってことで追加の軽量試作をいろいろ協力してもらって3次試作を迎えるんですけど、それが10月上旬くらいだったんですね。
――11/6の発表まで、ほとんど時間がなかったんじゃないですか
高橋氏 もうほんとに時間がない状態で。10月上旬の3次試作では塗装も施し、量産とほぼほぼ同等だったのですが、その結果は700gを超えていました。いよいよ「まずい」と感じる状況でした。本来であればもう製品をFIXして量産用の部品の手配をし始める時期なのですが、さらにそこから設計を変更して、量産前の確認フェーズでやっと698gが見えたんですね。関連部門や部品を製造してくれているメーカーさんと協力して、本当にかなりイレギュラーな短納期で、いろいろと対応していただいて、なんとか11/6の製品発表にこぎつけたという感じです。もう最初から最後までずっと"重さ"との戦いでした。
松下氏 実はパワーアップした省電力機能の制御関連で出荷間際に問題が見つかってしまい、省電力機能を犠牲にするか、それとも出荷スケジュールを遅らせるかの瀬戸際に立たされましたが、休日返上でICメーカーさんにも協力を頂き何とか改修することができました。カタログ等に記載しているバッテリ駆動時間に影響する機能だったので、直前でドタバタしてしまいましたが…。
野田氏 重量もそうですが、バッテリー駆動時間の長時間化も最後の最後まで追い込んでもらって、発表を迎えました。
――そこまでタイトなスケジュールだったんですね
野田氏 開発の終盤では、「もうLANポートを外してしまおうか」っていう話も出たりしたんですけど、使い勝手を考えると外せません。「なんとかLANポート込みでやってください」ということでお願いしました。
――過去2回「LIFEBOOK UH」シリーズのインタビューをやらせてもらってますが、そのたびに「LANポート外しちゃおうか」という話があったと聞いています(笑)
トータルバランスの良さで、ピカイチの仕上がり
――これから「LIFEBOOK UH」シリーズを購入される方のために、おすすめの構成を教えてください
松下氏 せっかくなので、メモリーはデュアルチャンネルで動作する、8GBか16GBのほうがいいかなと思います。使うアプリケーションにもよりますが、普通に使うなら8GB、画像や重いデータを扱うなら16GBがおすすめです。直販のカスタムメイドモデルだとストレージでPCIe接続のSSDを選択できるので、そちらもぜひ検討していただきたいと思います。
高橋氏 重さの点でいうと「LIFEBOOK UH-X/C3」が圧倒的なんですけど、「LIFEBOOK UH75/C3」も重量は747gです。実はこっそり前の最軽量構成(748g)を下回っているんですね。そちらのほうもご検討していただければと思います。
――最後に「LIFEBOOK UH」シリーズでここに注目してほしいというポイントをお願いします
野田氏 今回のモデルは堅牢性を強化していることもあって、ねじれにも強くなっていると思っています。前のモデルより軽くなっているのに、使い勝手が良くなっていたり、堅牢性が強化さてれていて、さらにしっかりした感じに仕上がっていると思います。
松下氏 外観で言うと、側面の段差がなくなってスッキリととしている点を見ていただきたいですね。
高橋氏 前モデルの748gから新モデルの698gとなり50g減っているのに、機能的にはなんにも減っていないんですよ。それでいて堅牢性も確保している。このバランスの良さという点を、一番見てほしいところですね。これまでのモデルに比べて、総合的な完成度は増していると思います。
*
「LIFEBOOK UH」シリーズの開発陣に話を聞くたびに感じるのは「モバイルノートはこうあるべき」という確固たる信念を持ち、常に妥協を許さない点だ。パフォーマンスはもちろんのこと、キーボードのタイプ感やインターフェースの使い勝手、ボディの堅牢性についてまでこだわり抜き、たゆまぬ努力と斬新なアイデアによって完成度の高いモデルに仕上がっている。重量については世界最軽量であり、トータルバランスでは世界最強クラスと言ってもいいだろう。モバイルノートを探している方は、ぜひ「LIFEBOOK UH」シリーズを第一候補として検討していただきたい。
(提供:富士通クライアントコンピューティング)