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1万人削減で株価上げたGE新CEOに立ちはだかるドイツの巨人

2019年02月12日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部,千本木啓文(ダイヤモンド・オンライン

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米GE
財務の安定を最優先する米GEは、成長分野に位置付けていた医療機器部門を分社し、一部を売却する Photo:REUTERS/アフロ

 低迷していた米ゼネラル・エレクトリック(GE)の株価が上昇に転じている。昨年、社外出身者として初めてCEO(最高経営責任者)に就任したローレンス・カルプ氏が、大なたを振るっているためだ。

 カルプ氏は1月31日、2018年10~12月期決算会見で、火力発電への逆風で不振にあえぐ電力部門のリストラを断行していることを何度も強調した。

 具体的な成果として、1万2000人のリストラ計画のうち1万人(電力部門人員の15%相当)を削減したことと、生産施設の3割を統廃合したことをアピールした。

 さらに、今後の市場動向についてシビアな見方を示した。顧客に引き渡される世界の発電用ガスタービンの総発電容量は2000~15年の平均約70ギガワットから25~30ギガワットに落ち込み、当面回復しないという。

 カルプ氏は「新たな現実に電力事業のコスト構造を合わせなければならない」と述べた。

 こうしたネガティブな発表にもかかわらず、GEの株価は同日、12%も上昇し、翌日も続伸した。

 株価急伸の背景には、損失発生リスクだった金融部門の住宅ローン事業をめぐる司法省の調査が同省との和解で決着したことによる安堵感がある。そして何より、そうやってリスクを切り離そうとするカルプ氏の経営姿勢が評価されたといえる。

再エネでの挽回が鍵

 もっとも、電力部門などのGEの主力事業が輝きを取り戻すのは容易ではない。かつて成長分野に位置付けていた医療機器部門などを分社し、一部売却も予定されており、稼ぎ頭は減っていく。

 再生の鍵になるのは火力から再生可能エネルギーへのシフトだ。

 GEは決算前日、送配電網や蓄電システム事業を再生可能エネルギー部門に移行、統合すると発表。発送電や蓄電を含め電力流通全体を効率化するソリューション事業を伸ばす方針を明らかにした。

 だが、風力など発電量が不安定な再生可能エネルギーを活用しながら電力を安定供給する技術では独シーメンスに一日の長がある。

 しかも、GEには発電機などの産業用機器のデータを集め、解析するIoT(モノのインターネット)で成長を遂げる戦略が頓挫した苦い経験がある。

 そうした厳しい条件をクリアし、再生可能エネルギーを核とした電力の最適化でシェアを奪還できれば、GE復活の兆しが見えてくる。

 片や、日系企業はどうか。火力発電機器でGE、シーメンスと肩を並べる三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は人員削減も工場再編も小幅にとどまり、再生可能エネルギーなどへの事業転換も打ち出せていない。GEほどの派手な構造改革は難しいにしても、早めに抜本的な策を考えなければ手遅れになりかねない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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