Vega 20を最適化するより
次期GPU「Navi」の開発に注力
加藤氏も言及しておられたが、Radeon VIIの消費電力は結構大きめである。
Next Horizonに話を戻すと、7nmプロセスは同じ消費電力では動作周波数を25%ほど引き上げられることになっている。
Radeon RX Vega 64はベースクロック1247MHz、ブーストクロック1546MHzになっており、このブーストを25%引き上げた場合、1932.5MHzという計算になる。Radeon VIIは実際にはブースト1800MHzであり、先の25%が正しければまだ上にいけそうな感じなのだが、1800MHzあたりで頭打ちなのは、おそらく最適化が十分でないためと考えられる。
ただAMDとしては、これ以上Vega 20で最適化を図るよりは、ほどほどのところで切り上げて次のNaviに注力し、こちらで最適化を図ったほうが賢明と考えても不思議ではないわけで、結果としてVega 20ベースのRadeon VIIがやや苦しいスペックのままリリースされたのは、仕方ないところだろう。
実際、Naviの製品投入はまだ時間がかかる。それよりは少しでも早くVega 20ベースでRadeon VIIを投入してシェアを多少なりとも獲得したほうが得策だと判断したのだろう。
GeForce RTX 2080 Tiに匹敵する原価率
Radeon VIIはかなりのバーゲンプライス
その代わりといってはなんだが、4スタックのHBM2を搭載し、16GBを実装してきた結果として、かなりお得感は高くなっている。
これも加藤氏のレポートでも各所に出てきているが、まだドライバーのチューニングが十分ではない印象で、せっかくの16GBがフルに活用されているとは言い難いが、逆に言えばドライバーのチューニングが進めばもう少し性能が改善できる可能性がある。
現状、NVIDIAのGeForce RTX 2080に匹敵というには苦しいスコアであるが、その分実売価格で1万安くてしかも16GBメモリー、というのは割と良いポジションであると思う。
ただこれは加藤氏も言及していた話でもあるが、Radeon VIIの原価率はそうとう高そうだ。少なくともGeForce RTX 2080よりは確実に高価であり、下手をするとGeForce RTX 2080 Tiに匹敵するくらいか、どうかすると超えているかもしれない代物である。
理由は巨大なダイサイズ(16/14nmならば660mm2相当の原価:TU104が545mm2、TU102が754mm2なので、ちょうどこの中間である)に加えて、現状かるくGDDR6の数倍の価格のHBM2を4つ、さらにシリコンインターポーザーも搭載していることだろうか。
GeForce RTX 2080よりも相対的に廉価なのは基板くらいのものである。メモリー配線は全部シリコンインターポーザー上にあるので、基板そのものはシンプルで層数も多少少なくて済むだろう。
海外メディアの中には、部品コスト+実装コストを650ドル+αと推定したところもある。筆者からすればもう少し低い気がするが、それでも600ドル近い気がする。原価割れこそはしていないが、かなりのバーゲンプライスであることは間違いない。
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