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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第497回

AMD GPUロードマップ  Radeon VIIは超特価、原価率は2080Tiに匹敵

2019年02月11日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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NCUを増やさなかったのは
設計期間短縮のため

 一方横方向だが、下の画像のとおり上辺側はおそらくPCI ExpressのI/FとHDMI/DPなどの画像出力のみである。

Vega 20のダイの部分。上辺側はおそらくPCI ExpressのI/FとHDMI/DPなどの画像出力のみ

 こちらは他にいろいろやりようはあったと思うのだが、下辺側に並んでいるのがおそらくインフィニティー・ファブリックのI/Fで、こちらもなにしろ信号速度が速い(連載485回にも書いたが50Gbpsである)から、やはり最短で配線できるようにしておく必要がある。結局この2つがある限り、ダイの外形寸法そのものは変えられなかったと思われる。

 逆に言えば、ダイサイズ的に言えばNUCの数をもっと増やすことも可能だったと思われる。実際下の画像を見る限り、上側にあと6基、下側にあと4基は楽にNCUを増やせたはずで、がんばればトータルで12基ほど増加できたように思われる。

Vega 20のダイの部分には、上側にあと6基、下側にあと4基は楽にNCUを増やせたはずだ

 つまり64 NCUではなく76 NCU構成である。これだけで18%ほど増加になるわけで、動作周波数をもっと落としても性能は維持できるし、1800MHzで駆動できればさらに高い性能が獲得できたはずだ。それにもかかわらずこれを行なわなかった理由は、設計期間の短縮であろう。

 後述するように、7nm世代の本命はNAVIであり、Vega 20はデータセンター向けなどに特化した、NVIDIAで言えばVoltaにあたる製品である。

 実際製造プロセスが大きく変わり(なにしろファウンダリーまで変わった)、最適化技法そのものが異なっているにも関わらずダイ上のレイアウトがほとんど相似形というのは、7nm移行への試験的な意味合いがあったにしても、最適化にあまり時間をかけていなかったためと思われる。

 Vega 20ベースのRadeon Instinct MI60/50が2018年中に出荷を開始し、コンシューマー向けのRadeon VIIが今年2月に発売開始できたのは、そうした最適化が十分ではないためだと思われる。

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