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ASUS本国の“中の人”に聞く! GeForce RTX搭載グラフィックボード詳細解説

2019年02月14日 11時01分更新

文● ジサトラショータ

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「コンパクトな製品を求める日本市場はユニーク」

――販売開始は今後ですが、そのほかのRTX 2060搭載シリーズについても教えてください。まず「TURBO」シリーズですが、こちらはブロワーファンを搭載した外排気モデルですね。外排気モデルは常に一定の需要があるという印象なのですが、どのようなユーザーにおすすめできるでしょうか。

David 基本的にはサーバー用途でPCを構築しているSI、もしくはエンドユーザーによる使用を想定しています。多くのサーバーは複数のGPUを敷き詰めるように装着して運用しますが、あらかじめそのような用途を想定した形状になっているので、エアフローが滞るといった問題が起きにくくなっているのがポイントです。可能な限りFounders Editionに近づけているため、そもそもサイズに起因する問題は起きにくいですね。

――「DUAL」シリーズは2連ファンを搭載した、より安価なモデルです。ASUSのグラフィックカードは豊富なシリーズが出ていますが、一番の売れ筋はこのシリーズということになるのでしょうか?

David 実際は、時期によって売れ筋の製品が変わります。発売当初に購入するユーザーはコア層が多く、GPUそのものに注目しているため、ハイエンドモデルに手を伸ばすユーザーが多数を占めます。そうなると、ROG Strixの売れ行きがよくなるわけです。しかし一定の期間が過ぎると、GPUよりも「ゲームがしたい」といった目的が先に立つユーザーが多くなって、より値段も手ごろなDUALシリーズのセールスが伸びていく。とは言え、やはり販売数としてはROG StrixよりもDUALのほうが多いでしょうね。

――また、カード長が短い「Phoenix」シリーズも発表されました。「ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMING」に比べればかなりコンパクトで、搭載するPCケースを選ばない利点があります。日本のユーザーは国内の住宅事情もあり、それほど大きくないケースを好む人が多いと言われていますが、実際に国別でそうした傾向はあるのでしょうか?

David 世界的に見ても、やはり日本の市場は特殊だと思います。ご指摘の通り、日本の住宅は非常に小さい。それに比べて、たとえばアメリカでは家も大きいし、フルーツも大きいし、何もかもが大きいです(笑)。そして、私が最近のCESやCOMPUTEXで見ている限り、現在のPCケースは大型の製品がトレンドですよね。In Winがメチャクチャ大きい(huge)PCケースを作っているでしょう(笑)? いつでもスモール&コンパクトが好まれる日本はやはりユニークですよ。興味深いことに、「Phoenix」シリーズは主に日本とオーストラリアで需要を二分しています。オーストラリアでよく売れているのは……なぜでしょうね(笑)。エントリー向けとハイエンドの両極端がよく売れる、国民性によるのかもしれません。

「ROG Matrix GeForce RTX 2080 Ti」は3年がかりで実現

画像は「CES 2019」に先駆けて開催された「ASUS Convention Show Hours」で展示されている「ROG-MATRIX-RTX2080TI-P11G-GAMING」。一見普通のグラフィックボードに見えるが、小型の水冷ポンプを内蔵するエクストリーム水冷仕様

――そのほか、1月の「CES 2019」で発表された興味深いトピックスについても少しだけお話を伺いたいです。やはり相当なインパクトがあったのは「ROG-MATRIX-RTX2080TI-P11G-GAMING」ですが、あのサイズでオールインワン水冷の一体化を実現するのに、かなりの困難が伴うことは……

David Super difficult(即答)。

――(笑)。難しかったであろうことは容易に想像できます。実現にあたり、どのようなブレークスルーがあったのでしょうか?

David 我々ROGのスタッフは、ROG-MATRIX-RTX2080TI-P11G-GAMINGを形にするために3年を費やしました。一般的に、AIOクーラーにはクーラントを循環させるチューブが付き物です。しかし、我々はチューブを見せないデザインの水冷クーラーを実現することをゴールに設定しました。膨大な量のサンプルを作り、非常に多くの困難な道を乗り超える必要があったのは確かです。特にポンプのカスタマイズに関しては、スタッフが数えきれないほどの調整を重ねています。実は製品のクーリングに使っている巨大な銅プレートのサンプルを持って来ているので、それも見せられれば良かったのですが……残念ながら今、手元にないんです。

――それは残念です。MATRIXといえば、ビデオメモリーをオーバークロックしているのも特徴的ですね。非常に珍しい仕様だと思いますが、これも水冷によって実現可能になったのでしょうか?

David まさにその通りで、メモリーも水冷化しています。GDDR6メモリーは非常に高速ですが、そのぶん熱を持ちやすく、GDDR5よりも発熱は大きいです。そのため、現在の市場にはビデオメモリーをオーバークロックしたRTXシリーズが存在しないのです。通常の空冷製品でオーバークロックすれば、まともに動作させるのは難しいでしょう。我々は水冷化によって、ようやくメモリー温度を低温で安定化させることに成功しました。

――国内での製品投入を楽しみにしています。最後に、今後について聞かせてください。RTXシリーズは現状4シリーズの製品を投入することはすでに発表済みですが、さらにユニークな製品を投入することは考えられますか? たとえば、Matrixのような製品を実現するのは上位モデルより容易だと思うのですが。また、Type-Cコネクター搭載のRTX 2060投入は考えていないのでしょうか?

David Type-Cコネクターに関しては、それが必要なVRユーザーはより上位のモデルに手を伸ばすだろうということで、積極的に搭載する予定はありません。MATRIXのような製品を最上位以外でリリースすることもないだろうと思います。ただし、また別のシリーズを用意することは検討中です。例えばですが……前世代ではリリースしていたけれどRTXではまだ出していない何か……の再設計モデルなんかはありえないとは言えませんよね。しかし、現時点で見せられるものは何もありませんので、ご期待ください(笑)。

――楽しみにしています。本日はありがとうございました!

終始気さくな対応をしてくれたDavid氏。ROGロゴ入りシャツでポーズを取ってもらった

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