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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢第217回

米政府がファーウェイを起訴し、直接対決へ――ただし、バックドアは含まれず

2019年02月07日 09時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII編集部

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2017年にT-Mobileと和解済みの事件

 また米政府は同日、ワシントン西地区連邦地方裁判所で、T-Mobileと2017年に和解した件を刑事事件として起訴した。T-Mobileのラボで開発中だったロボットをめぐり、ファーウェイに対し、企業秘密窃盗、通信詐欺など10件の罪状が出されている。

米政府がワシントン西地区連邦地方裁判所に提出した訴状(https://www.justice.gov/opa/press-release/file/1124996/download)

 こちらは長年言われてきた知財の窃盗に切り込みを図るものとなる。訴状では、従業員が競合などの企業秘密を盗むことをファーウェイが奨励していたと攻撃している。

 それによると、当時T-Mobileが開発中だったテストロボット「Tappy」をファーウェイ社員が無断で撮影したことなどが問題となっている。ファーウェイも当時、同様のロボット”xDeviceRobot”を開発中であり、Tappyの情報を得ようとしていた訴状に記している。

 その証拠として、中国のファーウェイ社員が米国にいる社員に対し、Tappyの詳細(パーツのシリアルナンバー、仕様情報など)を送るように指示するメールがあるとしている。ファーウェイの米国社員はT-Mobileの社員から怪しまれたためTappyのある部屋にカメラを設置したなどのやりとりがあったという。ロボットのアーム部分を持ち帰って測定したり写真を撮るなどして、中国側に情報をメールで送ったとのこと。

 T-Mobileはこの件の後、この従業員に与えていた入室のバッジを剥奪し、以降はファーウェイ社員がT-Mobileの従業員と同行なしにTappyがある部屋に入室することを禁じたという。

競合の知財窃盗を奨励するプログラム?

 ちなみにこの件は2014年にT-Mobileが訴訟にし、2017年に和解している。その際に判事は、ファーウェイがT-Mobileの企業秘密を不正に流用したと認めたが、悪意があったものではないと判断し、5億ドルの損害賠償を求める要求を退けている。Tappyの情報はプロモーションビデオなどで一般にも公開されていたという要素もある。結局、ファーウェイは480万ドルをT-Mobileに払うことになったが、これはこの件により端末の合意が破られたことに対する損害賠償という。

 だが、米政府はこの件を蒸し返し、刑事事件とした。

 米政府が訴状で存在を主張している組織ぐるみの知財窃盗は、次のようなものだ。

 ファーウェイの社員は社内のウェブサイトに収集した企業秘密を投稿できたり、機密度が高いものには暗号化をかけたメールを専用のメールボックスに送信でき、“競合管理”グループがこれを判断する。価値の高い情報を取得してきた従業員には、金銭による報酬が支払われる。また半年に一度、貢献の高い上位3地域にも報酬があるという。

 あるファーウェイの社員にこのようなプログラムの存在を聞いたところ、数年以上勤務しているがそのような報奨金やサイトの存在は知らない、とのことだった。

 ファーウェイは公式コメントで、この件について、「本件による被害、故意および悪質な行為はなかったと判断した民事訴訟を経て、当事者間ですでに解決されている」とコメントしている。

 ファーウェイがこれらについて、法廷でどのような主張をするのかに今後注目される。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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