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花王が「究極の洗剤」新アタック投入、高付加価値で増税に勝てるか

文● 週刊ダイヤモンド編集部,大坪稚子(ダイヤモンド・オンライン

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花王が4月1日に発売する「アタックZERO」
花王が4月1日に発売する「アタックZERO」。写真左から2番目はワンハンドプッシュ型の新型容器で、洗剤の計量時間を短縮できる。またドラム式洗濯機専用商品も投入する

 花王が“究極の洗剤”で攻勢に出る。その名も「アタックZERO」。花王の澤田道〓(隆の間に一)社長も「汚れゼロ、臭いゼロ、洗剤残りゼロ、花王史上最高の洗浄力」と強気だ。

 その背景にあるのは独自開発の洗浄基材「バイオIOS」。油によくなじみ、水にも溶けやすい特徴を持ち、特にポリエステルなどの化学繊維の汚れ落ちに強いという。防寒用インナーや形態安定シャツといった化学繊維の衣類が増えている中、皮脂や日焼け止めのような油性汚れは、現行の洗剤では木綿の半分も落とせていなかった。花王によれば、新商品はその汚れを落とすことで汚れの蓄積による臭いも防ぐという。

 しかも、すすぎ1回を訴求してヒット商品となった「アタックNEO」よりもさらにすすぐ時間が短い。「バイオIOSは油に吸着するが、衣類には付着せず、水に溶け続ける」(岡野哲也ハウスホールド研究所所長)という特徴を持つためだ。

 4月1日に発売、既存のNEOは生産を取りやめる。価格はボトルタイプで350円(税抜き)前後。NEOと同水準だが、洗剤市場の中では高付加価値タイプだ。4~12月末で300億円の販売を目指す。現行のNEOの1.5倍に相当する規模で、シェアも40%から45%を想定している。

コストダウン余力が高い

 アタック(粉末タイプ)の発売は1987年。当時は洗剤の箱が4分の1になったと話題に上った。前述のNEOが発売されたのが2009年。ZEROは実に10年越しで開発された製品となる。

 花王の衣料用洗剤などのファブリック&ホームケア事業は、18年1~9月期の売上高営業利益率が19%に達する収益の柱だが、ZEROは中期的にさらに収益を引き上げる可能性がある。原材料費が抑えられるからだ。

 油脂原料には、パーム油ではなく、パーム油を採取した後のアブラヤシの搾りかすを使っている。パーム油は洗剤のみならず、食用にも使われ、世界の人口増加とともに需要が急増しているものの、環境保護の面から増産もままならない。花王の新しい洗浄基材は、パーム油の廃棄物を利用している上、藻から作られた油でも実用化のめどが立っている。原材料費の面では現行製品より優位性がある。

 問題は、消費増税後の消費者の購買意欲だ。財布のひもが固くなれば、高付加価値タイプから普及価格タイプに需要がシフトする可能性がある。ただ、最近の洗剤市場は、金額ベースで前年比プラスで推移している。すすぐ時間が短い“時短洗濯”や抗菌などの機能を持った洗剤の購入が増えているためだ。男性の家事参加で、誰が洗濯しても失敗しにくい洗剤へのニーズが高まっているとの見方もある。

 花王は消費増税後をにらみ、勝負に出た。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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