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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第495回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー 新CEOのもと部門を切り売りして復活したIBM

2019年01月28日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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Gerstner氏による改革で
Cyrixを製造、さらにはLotusを買収

 Gerstner氏による戦略の変更は他にもいろいろあった。x86互換プロセッサーでおなじみCyrixは、当初ファウンダリーとしてTIおよびSGS-Thomsonと契約していたが、TIとは契約上の問題で委託を打ち切り、またSGS-Thomsonはより微細化したプロセスの製造が難しいということで、1994年からIBMがファウンダリーを務めることになった。

 これがビジネス的に美味しかったか? というと、カツカツというかやや赤字に近い程度だったらしいが、その代わりにIBMが自社でCyrixベースの製品を発売する権利が与えられることになり、こちらで埋め合わせができることになった。

 IBMは1991年から自社でもx86ベースのCPUの設計・販売を行なっていたが、こちらは正直あまりパッとしない売れ行きであり、1993年にリリースしたBlue LightingことIBM486BLX3も性能はそろそろ頭打ちになってきており、構造的にこれ以上の性能を引き出すのは難しかった。Cyrixの6x86シリーズはこのBlue Lightningの後継にちょうど良いものとなった。

 さらに1995年、IBMはLotus Development Corporationを買収する。連載404回でも書いた通り、IBMが欲しかったのは1-2-3ではなくNotesであった。この買収により、1995年には200万人だったNotesのユーザーは、1998年には2200万人にまで増加している。

 IBMはNotesをeSuiteと呼ばれるパッケージアプリケーションに含めることで、eSuiteそのものの売れ行き増加に貢献した。1996年にはネットワーク管理ツールを提供する会社であるTivoli Systems, Inc.も買収している。

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