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東京海上HDのトップ人事、決め手は「スーパー誠実」な人柄

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東京海上ホールディングスの次期社長の小宮暁氏(写真右)と、東京海上日動火災保険の社長に就く広瀬伸一氏 Photo by Masaki Nakamura

 経営者が組織運営の軸をどこに置いているのかが、よく分かるトップ人事だった。

 東京海上ホールディングス(HD)は21日、永野毅社長が6月に代表権のない会長に就き、小宮暁専務が社長に昇格する人事を決めた。HD傘下の東京海上日動火災保険は、広瀬伸一HD専務が一足早く4月に社長に就く予定だ。

「組織を統率するには誠実さと、それに基づく人望がやはり必要なんですよ」

 永野社長は以前から、組織のトップに立つ人物なかったのか、の条件について、そう周囲に語っていた。

 6年間にわたって組織のかじ取りを担う中で、見えてきたのは「10年、20年事業が続けばいいのであれば、俺についてこいという人物を選んだかもしれないが、100年続けるとなるとインテグリティ(誠実さ)がやはり求められる」ということだった。

「(小宮氏を)後任に選んだ理由は誠実さ。彼はスーパー誠実。どの国どの人種の人であっても、そう思わせる力がある」

 記者会見で永野社長がそう話したように、後継者選びで重視したのは入社年次でも経歴でもなく、まさに「人柄」だった。

 実直にも映るその人柄を、永野社長が改めて実感したのが昨年、再保険事業の中核として位置付けていた子会社、トキオ・ミレニアム・リー(TMR)の売却を決めたときだ。

 折しも再保険事業は、国内外で頻発する自然災害と過剰な資本流入によって、事業環境がなかなか好転しないという状況にあった。その中で、永野社長がTMRの売却を議論の俎上に載せた時、「仕事を共にしてきた社員がいるんですよ!」と最後まで抵抗し、仲間を気遣ってみせたのが、海外事業を統括する小宮氏だった。

 その小宮氏を、永野氏は早い段階から後継者の最有力候補として目をかけていたようだ。今から3年前、小宮氏が海外駐在の経験がないことを知ると、すぐに米コロンビア大学に1年間留学させ、帰国後すぐに海外事業を任せるかたちにしたからだ。

 そもそも、小宮氏の入社は1983年(昭和58年)。82年入社の広瀬氏の1年下であり、今後は持ち株と傘下の中核会社で、年次が逆転する異例の経営体制を敷くことになる。ただ、その懸念を吹き飛ばしたのもまた、小宮氏の仕事に対する姿勢だったという。

 今の東京海上にとって、大きな課題となっているのが1兆円に迫る金額で買収した米HCCとのさらなる連携強化だ。

 買収後しばらくは、永野氏自らがHCCのトップと直接コミュニケーションを図ってきたが、昨年9月以降は小宮氏にバトンタッチ。その後は「四苦八苦しながらも毎日のように(HCC前トップの)クリス氏とやり取りしている」(幹部)姿を見るにつけ、永野氏の気持ちが固まっていったようだ。

「環境変化が激しく、スピードが求められる時代。グローバルで企業価値を高め、力強く成長していく」

 記者会見の冒頭で、そう意気込みを語った小宮氏。米国をはじめ世界経済に減速の兆しが出始める中で、次期社長には事業をドライな目で見定める力が一段と求められることになりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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