このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 次へ

ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第491回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー 互換機を締め出し市場占有率が半減したIBM

2018年12月31日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

IBM-PCシリーズが生産終了
PS/2シリーズを新たに投入

 前回の最後に掲載した売上台数表であるが、互換機メーカーに押されていたとはいえ、1987年の出荷台数が少ないと思われるかもしれない。

機種/年度別売上台数
  IBM-PC PC/XT PC/AT 合計
1981年 2万台     2万台
1982年 14万台     14万台
1983年 40万台 10万台   50万台
1984年 87万台 28万台 6万台 121万台
1985年 48万台 56万台 36万台 140万台
1986年 28万台 55万台 35万台 118万台
1987年 6万台 22万台 26万台 54万台
合計 225万台 171万台 103万台 499万台

データの出典は“Creating Strategic Leverage” by Milind M. Lele

 実を言えば、この表は嘘は書いてないのだが、正確でもない。IBM-PCは1985年12月に、IBM-PC/XTとIBM-PC/ATは1987年4月にそれぞれ生産終了となっている。もちろんIBM自身は生産を終了しても流通在庫は存在するわけで、ショップは引き続き在庫を販売することになる。

 とはいえ新規生産はもう終わっているわけで、どうしても販売台数は尻すぼみ式に減るのは避けられない。逆に言えばIBM-PCなど生産終了後にまだ34万台も売れたという見方もできる。

 ではIBM-PCシリーズの生産を終了したIBMはどうしたかというと、その1987年4月にPS/2(Personal System/2)と呼ばれる、まったく新しいラインナップを投入した。

 1987年4月に投入されたのは、下表に示す4製品である。ローエンドであるModel 30(*1)はデスクトップに小さくまとまるサイズだったが、ハイエンドのModel 80はタワー型の筐体になっている。

(*1) Model 30は、8086を搭載したモデルと、後に80286を搭載したモデル(こちらはModel 30-286などと称されることもある)の2種類があってわかりにくい。

PS/2のラインナップ
Model No. 型番 CPU DRAM ビデオ FDD HDD Bus 価格
Model 30 IBM 8530 8086/8MHz 640KB MCGA 720KB×1 20MB XT 1695~2295ドル
Model 50 IBM 8550 80286/10MHz 1MB VGA 1.44MB×1 20MB MCA 3595ドル
Model 60 IBM 8560 80286/20MHz 1MB VGA 1.44MB×1 44/70MB MCA 5295~6295ドル
Model 80 IBM 8580 80386/20MHz 2MB VGA 1.44MB×1 44/115MB MCA 6995~8495ドル

ローエンドのModel 30は、ライザーカード経由でXT Busが3本出ているという非常にコンパクトなもの

ハイエンドのModel 80。当時のカタログを見ていると、容量200MBの光ディスク(5.25インチのMOドライブと思われる)などもオプションでラインナップされていた

前へ 1 2 3 4 5 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン