このページの本文へ

パワハラを避けるための「部下への気遣い」はなぜ逆効果なのか

2018年12月26日 06時00分更新

文● 佐藤律子(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
写真はイメージです Photo:PIXTA

今年、重大な社会問題として浮き彫りになったパワハラ・セクハラ問題。そうならないように、会社内での人間関係にも気を遣う機会が多くなったのではないだろうか。しかし、その“気遣い”が、逆に部下の生産性を下げてしまっているかもしれない。男性と女性では、仕事への意識、進め方などがそれぞれ全く異なるからだ。そこで、『ほめられると伸びる男×ねぎらわれるとやる気が出る女 95%の上司が知らない部下の取扱説明書』(青春出版社刊)の著者・佐藤律子氏が、これからの時代に必須な「異性の部下」と円滑に仕事を進めるためのスキルについて解説する。

ちょっとした空き時間に部下と距離を縮めるコツとは

 ビジネスの場では、職場の人と“仲良し”でいる必要はない。しかし、どんなにビジネスライクに進めても、やはり仕事の成果を左右するのは“人と人”である。特に、部下からの信頼を得ることができれば、思いもよらぬサポートを受けることができるだろう。デキる上司ほど、部下に助けられているものなのだ。

 では、仕事以外の場面でも部下とより良い関係を築くにはどうしたらよいのだろうか。実は、こういった場面での距離の縮め方のポイントも、男女でちがってくるのだ。

 たとえば、外出先での移動時間などに部下と会話をする場面で、男性部下とは共通の話題で盛り上がるのがよい。男性は基本的に情報交換のために会話をするが、一気に親しみを覚えて盛り上がる瞬間がある。それは、お互いの共通項や類似性を発見したときなのだ。

 これは、心理学よく知られた「共通項・類似性の原理」というものであり、出身地、出身校、趣味、職種、名字が一緒、好きなタレントが一緒など、何か共通点を見つけるだけで会話がぐっと盛り上がりやすくなるのだ。このように会話が盛り上がるきっかけを見出す方法として、事前リサーチで相手との共通点をできるだけ多くチェックしておくとよいだろう。

 さらに、男性部下と打ち解けるには、相手の名前を呼び、相手を気遣う言葉をかけること。「○○君は北海道の出身だったね。美味いものがたくさんあっていいなぁ」など、「相手の名前」と「相手を気遣う言葉」の両方を折り込むことで親近感がわき、一気に距離を縮めることができるだろう。

 一方、女性部下と会話する場面では、敬語を緩ませてみることがポイントである。女性は共感を目的としたコミュニケーションのために会話をするため、上から目線で接せられると印象が悪くなってしまう可能性があるのだ。しかし、逆に女性部下に失礼のないようにといつまでも敬語を使っている男性も多いという。敬語はたしかに失礼ではないが、毎日顔を合わせて仲が良くなっているのに、いつまでも敬語でいるのは相手にとっては距離を感じてしまうだろう。特に、若い女性部下は、上司からフレンドリーに接してもらいたいと思っているので、雑談の時は少し敬語を緩ましてみるとよいだろう。そうすることでコミュニケーションの壁がなくなるかもしれない。

 このように、普段の会話から男女で接し方を少しずつ変えてみることで、部下との距離をぐっと縮めることができ、仕事でも円滑なコミュニケーションができるようになるのではないだろうか。

“パワハラにならない”部下への叱り方とは

 近年、問題視されている職場でのパワハラ問題。そのため、仕事上で部下を叱る際に、「これはパワハラになってしまうのではないだろうか?」と思い、何も言えなくなってしまう人が増えているという。しかし、ミスや失敗の際に上手に叱ることは部下の成長につながるのだ。そこで、次のパワハラにならない叱咤激励の方法を心がけてみてほしい。

・感情ではなく、指導であるとの目的意識をしっかりと持つ
・具体的な行動や内容に焦点を当てる
・部下への伝わり方を確認する
・相手や状況に応じて指導する

 ここで大切なのは、部下の理解力、意識、職業上の知識や能力に合わせて指導を行うことである。意識の低い部下に対して自発的な行動を求めるのは難しいが、遠回しに伝えても部下の行動は変わらないだろう。

 たとえば、遅刻をくり返す部下を叱る時、「どうして遅刻したんだ!」「ばかやろう」と言っても、具体的に何をしたらよいのか部下はわからないのである。この場合、「遅刻はよくない」ことだときちんと伝わるポイントは次の3つである。

・問題点の指摘「遅刻をすることで、問い合わせをしてきた顧客に迷惑がかかる」
・評価ポイント「組織としてルールを守ることが大事だ」
・今後と処置「遅刻が続くようであれば、減給処分となる」

 そして、指導した後はそれが正しく伝わっているのかを必ず確認し、指導した事柄を実践させてみてほしい。実践として見える化できていないのであれば、「指導した」というあなたの単なる自己満足で終わってしまうからである。

「これを言ったらパワハラになるだろうか…」と考えだしたらキリがないが、自分は叱咤激励しているつもりの言葉でも部下が必ずしもそう受け取らない場合もあることを肝に銘じて、常に行動・発言するよう心がけることが大切だ。

その配慮が女性部下のやる気を損なわせている!?

 今、日本国内では少子化の影響で労働人口は急激に減少しており、日本の労働市場は女性の労働力なくして維持できないところまできている。しかし、女性が当たり前に管理職になる現代において、企業の男女間のコミュニケーションは複雑さを増してきているのが現状だ。男性部下の扱いに困る女性課長、同僚の女性とうまくやれない男性社員、ハラスメントを恐れる管理職…相手をどう接したらよいのか答えを見つけられず、悩んでいる人が多いのである。特に、社会は女性を活躍させることにまだ四苦八苦しているのが現状だ。

 たとえば、「女性は早く帰っていいよ」や「女性は○○しなくていいよ」と女性であることを理由に何かをしなくていいと配慮をすることはないだろうか。「会社」という社会は、今までは活躍する男性とサポートする女性という役割分担で発展してきたため、よかれと持って女性に対する配慮が生まれてしまうのだろう。しかし、その配慮は女性にとって「能力がないと考えられている」と思い込んでしまい、結果として能力や実力を伸ばすチャンスを諦めてしまうケースが多いのだ。

 たしかに、女性が男性のようにガシガシと働けるのか?という疑問もあるかもしれない。しかし、アプローチ次第では女性の顕在的、潜在的な能力を引き出し、活用することは可能である。そもそも、男性と女性は頭の中も、仕事の目的も全く異なる。たとえば、男性が女性に求めるものは、「信頼」「受け入れ」「感謝」「尊敬」「賛成」「励まし」だ。一方、女性が男性に求めるものは「関心」「理解」「尊重」「忠誠」「立証」「安心感」である。働き方に対する柔軟性や多様性をもつビジネスパーソンが増加しているいま、このような男女の違いを理解し、相手を尊重するコミュニケーションをとること、相手に何ができるかを考える必要があるのだ。

 男性と女性の能力を活かすための秘訣は、男女それぞれが得意とすることを理解して伸ばすことにある。男性は新たな仕事へのチャレンジや任せられることを重視し、女性は仕事を通して成長や自己肯定を感じられることを重視する。さらに、男性は「理屈説明」に優れ、女性は「感情表現」に優れている。このようなことを知っておくことで、仕事、特に上司と部下の間でお互い気持ちよく仕事を進めることができ、成果も上がることが期待できるだろう。

 ハラスメントを恐れて部下とのコミュニケーションを必要最低限にしてしまっては、仕事の成果にも影響が出てしまうだろう。ぜひ今回述べてきた男女の違いを理解したコミュニケーション方法を職場で活かして実践してみてほしい。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ