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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第490回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー AT互換機という怪物を産み出したIBM

2018年12月24日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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ATフォームファクターの原型となった
IBM-PC/AT Type 1のマザーボード

 IBM-PC/ATにはType 1からType 3まで3種類の構成がある。

 Type 1は6MHz駆動の80286を搭載し、オンボードで256KBのDRAMを搭載(512KBまで拡張可)、FDD×2のほか20MBないし30MBのHDDを搭載できた。正確な価格が見当たらなかったのだが、およそ6000ドル程度(おそらく20MB HDDのモデルだと思われる)とされる。

 ちなみにType 1ではディスクリート部品の山、という感じになっており、マザーボードもかなり大型化している。これがいわゆるATフォームファクターの原型となった。

かなり部品点数が多いので、基板が大型化しているのは仕方ないところか。ISAスロットの左にあるシールド部の下には何が隠れていたのだろう?

 拡張バスは、旧来の8bitバスに、さらに8bit分の追加データバスを拡張したような形状になった。この16bit幅のスロットをAT Bus、IBM-PC/XTまでで利用されてきたスロットをXT Busと呼ぶが、これは俗称であってIBMの正式名称ではない。このAT Busがその後ISA(Industry Standard Architecture)Busと呼ばれることになった。

 XT BusとAT Busがどんなものか、というのは連載106回で解説したので繰り返さない。アドレスとデータを多重化している部分はあるにせよ、基本的には80286のアドレスバスとデータバスの信号そのまま、という話である。

 DRAMは上の画像で言えば左上がそうだが、まだDIPソケットにDRAMチップを直接装着する方式である。128Kbitチップを36個(うち4つはパリティー)搭載可能で、これで512KBである。これ以上のメモリーは、ATバスに拡張メモリカードを装着する形で、理論上は最大16MBまで実装可能となっている。

 もっともType 1の場合、BIOSにバグがあって最大でも12.3MBまでしか認識できなかったらしいが、当時こんな大容量メモリーを扱う用途はなかったので実質的には問題なかったらしい。

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