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三井住友FGトップが8年ぶり交代、「大本命」が負う責務

2018年12月20日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部,田上貴大(ダイヤモンド・オンライン

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4月1日付けで、三井住友フィナンシャルグループの國部毅社長(右)が退任し、太田純副社長が社長に昇格する Photo by Takahiro Tanoue

 12月14日、三井住友フィナンシャルグループ(FG)は、2019年4月1日付けで國部毅社長が会長職に退き、太田純副社長を新社長に昇格させる人事を発表した。太田氏といえば、国内外で投資銀行業務を経験し、國部氏自身が「(FG社長に就任した)2年前から有力候補の1人だったことは間違いない」と言うほどの実力者。満を持して、大本命が登板することになる。

「持ち株会社を中心とした新しい経営体制への移行を円滑にするために、FG社長になったが(中略)そのめどがたった。また、来年度(19年度)が中期経営計画の最終年度であり、次期中計は新トップの下で進めるべきだと判断した」

 FG傘下の三井住友銀行の頭取を6年間、そしてFG社長を2年間、合計8年間に渡って経営トップを務めた國部氏は、自らの退任時期の妥当性についてこう語る。

 次期中計については言葉の通りだが、新しい経営体制への移行とは何を指すのか。

 かねて三井住友FGでは、本来ならば持ち株会社トップが全体の監督を担うべきところ、グループ内で最大の収益を稼ぐ銀行頭取が実権を握ってきた。

 グループ内で主導権を握る旧住友銀行出身者が銀行頭取を歴任する一方で、旧行間のバランスを取るために、FG社長のポストは旧三井銀行出身者を当てる“たすき掛け”人事を行ってきたからだ。

たすき掛け人事に決着

 こうしたガバナンス不全について、金融当局が問題視。そこで、約2年前の17年4月、銀行頭取を務め上げた旧住友出身の國部氏がFG社長に就くことで、持ち株会社に実権を集約するに至ったわけだ。

「人事上では旧三井や旧住友というものは考えていない。人物本位だ」と國部氏は強調するものの、旧住友出身の髙島誠氏を銀行頭取に据えたことで、「旧住友による支配を決着付けた」(メガバンク関係者)ことにもなった。

 併せて國部氏はFG社長に就任して以降、トップ人事や報酬について外部の目を入れる「指名委員会等設置会社」に移行するなど、経営の透明性を向上する施策に尽力してきた。

 これが、國部氏が言う新しい経営体制だ。

 その結果、「(グローバルな基準である)指名委員会等設置会社に変えたことで、自社のガバナンスについて海外当局に説明する負担が減った。それと同時に、各案件をそれぞれの委員会に振り分けることで、取締役会では大きな議論ができるようになった」(國部氏)という手応えを感じたという。

 こうしたガバナンス刷新の素地が出来上がった今こそが、“王位継承”の時期と見定めたというわけだ。

グループ総合力に課題

 片や、バトンを受け取った太田氏は、同期入行で同じく京都大学法学部出身である髙島頭取とコンビを組むことになる。太田氏も「(高島氏とは)役割が違う」と認識しており、銀行の業務執行は髙島氏に委ね、自身は國部氏が敷いた“FG強化”路線に専念する考えとみられる。

 実際、18年度上期決算の銀行単体の業務純益(一般企業の営業利益)では、三井住友銀行が3019億円を稼ぎ出し、同2734億円の三菱UFJ銀行を抑えてメガバンクでトップに立った。だが、FGベースに目を転じれば、三菱UFJFGの純利益6508億円に対し、三井住友FGは同4726億円と大きく水を開けられたままだ。

 つまり三井住友FGは、三菱UFJFGの総合的な収益力に遠く及ばないのが実情というわけだ。

 この差をいかに巻き返すのか。グループ総帥となる新社長が総合力を底上げするために、M&A(企業の買収・統合)戦略を含め、どんなカードを繰り出してくるかに注目が集まっている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 田上貴大)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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