このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

初めて見るUSAとNo-Code/Low-Codeの市場感

サンフランシスコで開催されたKintone Connectに参加してきた!

2018年12月06日 09時00分更新

文● Kula Xu(くーら) 写真●金春利幸(アールスリーインスティテュート)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

プログラムができなくてもハッピーな業務改善は実現できる

 その後、3人のエンドユーザーが、それぞれKintoneとの物語を語った。

 Conrad Industries Inc社「A-B Emblem」部署の法令遵守担当責任者であるHeather Johnsonさんは「A-B Emblem」という刺繍バッジを作っている部署の人間として、Kintoneと出会って自ら業務改善し、今まで3日ぐらいかかった出荷時間を30分まで短縮できた話を披露した。

Conrad Industries Inc社「A-B Emblem」について語るHeather Johnsonさん

 ちなみに今回KintoneConnectのノベルティグッズのトラベルタグもA-B Emblem製。かわいいでしょう!

素敵なトラベルタグ!!

 続いて登壇したのはLiveWell Colorado社の事務室長Claire Siemerさん。彼女自らKintoneを使ってプログラミングができない障壁を取り除き、Partnership Engagementと「Duoble Up Food Bucks」 という地域食材販売のデータベースを作り上げた。現在この2つのアプリが社内のデータハブになった上、社員の教育にも役に立っているという。

Claire Siemerさん(LiveWell Colorado社の事務室長)

 最後はMichael Callahan & Associates, LLCのMichael Callahanさんは、個人で運営している会計事務所なので多忙。ちょうど他の会計ソフトウェアの機能が足りなかったり、機能過多だったり、高かったりで悩んでいるところに、Kintoneと出会った。Kintoneのおかげでプライベートの時間が増え、家族と一緒に過ごす幸せな時間が増えた話。

Michael Callahanさん(Michael Callahan & Associates, LLC)

 この話が自分にとってツボった。本人は多分話し上手ではない方で、そのかわりに動画を作ってくれた。軽快なBGMでKintoneがいかに仕事の効率を高めて自分をいかに幸せにすることがわかりやすく説明されていた。

 3人ともプレゼンが上手でノリが良くて、オープニングスピーチからの真剣な空気が一瞬で和んで、笑いのあふれる空間になった。日本のカンファレンスをdisるわけじゃないけど、ほら、こういうシリアスな場こそユーモアが溢れるスピーチのほうが覚えられるんじゃない?

パートナー展示やユーザー事例など午後もまるまるKintone

 お昼には周りの方といろいろなお話をし、ロビーで展示されている各社のブースに訪問した。

展示会場へGo

 KDDIは、温度センサーでリアルタイムに測定した気温を、SORACOMのSIMカード通信によってKintoneのデータベースに送信するデモを作った。一見簡単なIoTデモだが、Kintoneに蓄積された気温データを他のアプリに連動し、オフィスの環境改善、災害検知など、さらなるワークフローを加えてシステム化できる発想が見えてきてとても良かった。

SORACOMの通信でセンサーのデータをKintoneに送り込むデモ

 RICOHは、紙の書類をスキャンしてそのままデータ化し、Kintoneへ転送するサービスを開発した。(最初のセッションでも披露されたサービス)担当の方によると、アメリカはローカル企業ほどアナログ環境が多く、紙依存からなかなか抜け出せないらしい。そのために作られたソリューションであった。

 4つのセミナールームが並行していろんなセッションを進行しているため、1人ですべてのセッションを聞くことはできないので、興味のあるテーマだけを選んだ。

 正直、Webサイトのアジェンダでは雰囲気が全然わからなかったので、ドキドキしながらDaveが担当している部屋に入ると、お酒の製造会社の女性が業務改善のために作ったKintoneアプリを紹介し始めたところだった。スピーカーはローカルでありながらかなり有名なウイスキー蒸留所「McCormick Distilling社」でネットワーク管理者を務めるBetsey Thurloさん。従来は紙依存の管理により少なくない損失が発生しており、4人しか居ないITチームで頭を抱えながらデジタル化を決意したという。

 本人は一切プログラミングができないので、Kintoneに出会った時にユーザーフレンドリーな操作画面に魅了されすぐ導入した。簡単なアプリを作り、ユーザーが見やすいようにJavaScriptまで勉強してボタンの色を赤くするなども試みたという。こちらはほとんどKintoneで作られるアプリのディテールを見せながら、Kintoneのエンジニアさんと他のパートナーさんと議論しながらアイデアを共有する場であった。

 次のセッションはNimrod Grinvaldさん(以下、Nimさん)からのKintoneプラグイン紹介。かゆいところに手が届く「ジョイゾー」の便利軽快なプラグインセット、世界共通UIであるExcelと同じ感覚でデータの入力、編集、集計、整理ができる「krewSheet」、そして自分がUXを担当しているノーコードKintoneカスタマイズサービス「Customine」を紹介いただいた。

NimさんにCustomineを紹介してもらった

kintonenian Awardと楽しい懇親会

 最後のセッションはKintoneCorpの社員からKintoneのカスタマイズを教えてもらい、ホールに戻って「Kintonian Awards」の表彰式だ! ボウズマンっぽく仮装したNimさんが登場し、これまでのセッションでの落ち着いた雰囲気をコメディアンのように一変させ、会場の笑いも止まらなくなった。AscendWare、Richo、CData、KDDI USA、FUJISOFTの5社のうち、大賞はAscendWareの元に。参加者はみんなKTくんのレプリカが贈与された。

仮装したNim!

大賞はAscendWareの元に

 一日中カンファレンスだったがまったく疲れていなかった。アメリカンなノリがとても良くて感心した。よくハッカソンで他人の意見をまず否定せずに「Yes, and...」な考えをするように教わるけど、ここだと自然に賛称と意見が言えて、英語でうまく伝わらなくてもフォローをしてくれて順調に会話が弾むようになる。他人に配慮するストレス皆無で楽だった。

 自分含め参加者のほとんどが非開発者だったので、No-Codeに対してとても共感しやすい部分があった。ITのプロになる必要がなく、ここでは「楽しい仕事を作ろう」とするプロが集まる場だなと思った。非開発者が課題解決、業務改善をしているうちににITの知識が身につけて、ちょっとしたチャレンジでプログラミングしてみる。たとえそれがどうしてもできなくても他のNo-Codeツールがどんどん提供されて(たとえば弊社のCustomine!)、Kintoneが一つ大きなプラットフォームになっていくことが見えてきた。Happy Hourでユーザーの歓談と笑顔が証明してくれた。

パーティー会場から眺めるSFO空港の夕焼けが最高にきれいだった

 

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ