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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第486回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー 日本の産業スパイに狙われたIBM

2018年11月26日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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互換機製造メーカーが欲しがった
S/370-XAの資料を巡り事件が勃発

 この時期のIBMの大躍進を支えたのは間違いなくSystem/370とそれに続く後継製品であり、この時期に多くの競合メーカーを振り落とすことに成功している。

 Amdahlとの闘いは連載439回で解説したが、もっと激しかったのは富士通、日立、三菱電機といった日本の互換機製造メーカーとの戦いであった。

 それがピークに達したのは、S/370-XAに対応したIBM 3081Kがリリースされた1981年頃である。互換機メーカーはいずれもSystem/370やSystem/370 Advanced Functionに対応するために必要な情報を得て互換機種を発売していた。

 ところがS/370-XAではアドレスの31bit化にともない、内部的にいろいろ大きな変更があり、しかしIBMはその情報を外部に出さなかった。このままだと、互換機メーカーはS/370-XAに対応した機種を作れないことになる。

 そこで何とかして情報を手に入れようと画策することになる。かくして起きたのが「IBM産業スパイ事件」である。別の記事でも簡単に説明されているが、ここで対象になったのはIBMのPouhkeepsie工場で作られた、Adirondack Hardware Design Workbookという27巻もの非公開資料である。

 非公開資料といいつつ、その大半はIBM Technical Disclosure Bulletinという書簡(これはIBMが開発した技術を、他社が先んじて特許などを取得してしまわないように、先に公開するというもの)や、さまざまな学会/国際会議で発表した内容だったりする。

 そもそもAdirondack Hardware Design Workbookは、IBMが3081Kの開発にあたって、必要になりそうな文献を片っ端から集めてまとめた資料であり、必ずしも3081Kとは関係ないものも含まれていたようだ。

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