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業界人の《ことば》から 第319回

パナソニック社長「あえて未完成品を世に出すべき」の真意は?

2018年11月27日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII

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何者なのかわからなくなっていた

 津賀社長はクロスバリューイノベーションフォーラム2018の基調講演で「私が社長に就任して6年が経過したが、実はここしばらくの間、パナソニックという会社がいったい何者なのか、私自身が見えなくなり、自問自答する日々を過ごした」と振り返ってみせた。

 「家電のパナソニックという時代はわかりやすかった。しかし、いまは自動車の車載電池や車載エレクトロニクス、他社の工場ラインにもソリューションを提供し、さまざまな場面に事業を展開していくなかで、気がつくと、パナソニックが何者なのかが見えなくなっていた。

 事業としてうまくいっているからいいということではなく、パナソニックという会社が、社会においてなんの役に立てるのかが大切である」とし、

 「私が考え続けたのは、パナソニックという会社が世の中に存在している意義とはなんなのかということである。その結果わかったのは、今日よりも明日、明日よりも明後日、一人ひとりのくらしを少しでもより良くしていくこと、少しでもよりくらしやすい社会をつくりあげていくことが、パナソニックの存在意義であることだった。

 この存在意義は、創業当時もいまも、これから先の未来も決して変わることはない」とする。

 続けて「100周年というこのタイミングで、私が自問自答に陥ったことは、決して偶然ではないと感じている。正直、かなり悩んだ。だが、いまはこの自問自答のトンネルを完全に抜けることができた」とし、その答えがくらしアップデート業であったことを示した。

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