このページの本文へ

松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第20回

スマホ低成長時代の対策を済ませたのは確かだ:

アップルiPhone低迷説は本当か? 去年の教訓から考える

2018年11月22日 16時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

●iPhone XSが売れていたら

 iPhone XRの増産計画を絞った点についても、理由を考えてみるべきでしょう。iPhone XR向けに45の生産ラインが確保されており、十分需要が賄えるという判断があったからでしょう。

 iPhone XRにはLiquid Retinaという、アップルが初めて採用するディスプレイ技術が使われています。そのため製造過程での効率性が低いことが考えられ、ラインを増やそうとしていたかもしれません。しかし効率性や歩留まりの急速な改善すれば、少ないラインでの製造が可能になるでしょう。

 レーザーパーツについても、ルメンタム以外にアップルが投資したフィニサー(Finisar)などのサプライヤーを確保しており、単純に発注の配分が変わった可能性もあります。サプライチェーンからの限られた情報は、こうした話が加味されていない可能性があるのです。

 また、もし上位モデルであるiPhone XS、iPhone XS Maxが好調で、そちらの割合が多かったらどうなるでしょう。次の決算からは販売台数が発表されなくなりますから、決算のサマリーから平均販売価格を求めることはできませんが、iPhone XRの生産ラインが減らされたことは、iPhone XSシリーズとの販売バランスが想定と異なっていたことも考えられ、それを調整した可能性もあります。

 つまり、実際に何が起きているのかを、サプライチェーンの情報から判断することは難しく、需要減以外の理由はいくつもあるのです。iPhone XS Maxが好調だった場合、iPhoneの売上高は更に勢いよく成長するかもしれません。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン