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LIXIL創業家が2代続けて「プロ経営者」更迭、発表で株価は下落

2018年11月12日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部,池冨 仁(ダイヤモンド・オンライン

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静かなるドンの手腕は、未知数だ。株式市場は疑念を抱いて見ている Photo:kyodonews

 近年のLIXILグループの動向を一口で言うと、「どこか中途半端でやり方が拙い」となるだろう。

 11月1日から、創業家2代目の潮田洋一郎取締役会議長(64歳。写真)が、約7年ぶりに持ち株会社の代表取締役会長兼CEOに復帰したことで、新体制に移行した。2016年6月より“LIXILの顔”だった前任の瀬戸欣哉社長兼CEO(58歳)は、表舞台からの退場を余儀なくされる。

 19年4月1日には、米経営コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニー出身で、16年6月からLIXILグループに関与してきた山梨広一社外取締役(64歳)が、経営の監督役から執行役へと転じて後任の社長に就任する。事業会社のLIXILでは、旧トーヨーサッシ(現LIXIL)出身の大坪一彦副社長(60歳)が社長兼COOに昇格した。

 今回の社長交代劇で、潮田オーナーは、米GE(ゼネラル・エレクトリック)出身の藤森義明氏(後にLIXILグループ社長兼CEO。現日本オラクル会長)に続き、住友商事出身でMonotaROなど複数のベンチャーを立ち上げたIT起業家の瀬戸氏まで、三顧の礼で迎えた“プロ経営者”を2代続けて更迭した。

 藤森氏は、米国や日本のGEで実績を積んできた経営手法の数々をLIXILグループに持ち込み、海外M&Aを駆使したグローバル化の推進によって一気呵成に会社全体を変革することを目指した。

 だが、中期経営計画の目標を一度も達成できず、中国の孫会社で勃発した粉飾決算騒動で約660億円もの巨額損失を出して、辞めざるを得なくなる。藤森氏がスカウトした外部人材は、その多くが結果的に社を去ることになった。

 後を受けた瀬戸氏は、それまでの海外への拡大路線を大幅に修正し、不採算事業の整理に乗り出す。また、旧来のトステムやINAXなどの製品ブランドを復活させ、「愛社精神」の醸成に取り組んでもいた。連結売上高約1.7兆円、社員数8万人以上に変貌した巨大組織の束ね直しに努めていた。

気に入らないからクビ?

 新体制の発足に先立ち、10月31日に開かれた会見では、瀬戸氏が「正直に言って残念」と無念さをにじませた一方で、潮田オーナーは「再び、積極経営に転じたい」としれっと述べていた。絶対的な権力を持つ潮田オーナーと並べば、瀬戸氏も雇われ社長にすぎない。だが、2人のプロ経営者を生かせなかった原因は、中途半端に経営を任せた潮田オーナーにある。

 社長交代の発表を受けて株価は下がった。社内からは「信頼関係ができていなかったのではないか」との批判の声も漏れてくる。図らずも企業統治不全を露呈した格好だが、近年は海外から指令を出していた2代目に、経営の当事者であるという自覚はあるのか。はなはだ疑問だ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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