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米司法省がロシア人を起訴、偽ニュース拡散で選挙干渉の疑い

2018年10月22日 09時27分更新

文● Martin Giles

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米国司法省がロシア国籍の女性を起訴した。この女性は、ソーシャルメディア上でフェイク・ニュースを拡散することで、米国の政治システムに干渉しようとする策略に関与した疑いが持たれている。

10月26日に明らかになった訴状の中で米国司法省は、2016年の米国大統領選挙と今年の中間選挙において、政治的な対立を引き起こすために計画された「情報戦争」運動の一端を担ったとしてエレーナ・アレクセーブナ・クーサイノバを訴えている。

起訴状によると、クーサイノバは、「プロジェクト・ラフタ(Project Lakhta)」と呼ばれる策略の会計を担当していたという。プロジェクト・ラフタに資金を提供していたのは、ロシアのとある新興財閥が支配している複数の企業だ。この新興財閥はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と密接な関係を持っている。プロジェクト・ラフタは複数の国を標的にしていたので、米国にどれだけの資金を当てていたのかは定かではない。しかし、起訴状では、今年1月から6カ月間にわたって、プロジェクト・ラフタの運営予算は1000万ドルに及んでいたと主張されている。

プロジェクト・ラフタに関与していたロシア人たちは、一般市民の政治活動家を装い、仮想プライベート・ネットワーク(VPN)を利用することで正体を隠し、偽のソーシャルメディア・アカウントや電子メール・アカウントを数千件作成していた。こうしたアカウントから、銃規制や人種関係、移民など、対立を生む幅広い問題を扱うコンテンツが流された。工作員は、議論においてしばしば、賛成の立場からも反対の立場からも投稿し、意図的に議論を混乱させたり、恨みを煽ったりしていた。

米国司法省によると、捜査ではフェイスブックとツイッターから支援を受けたという。両社とも、自社プラットフォーム上で国外の権力が偽情報を拡散するのを阻止するために多大な努力を払っている。しかし批評家たちは、プロジェクト・ラフタのような集団が作り出したフェイクニュースの氾濫を食い止めるためのソーシャルメディア大手の取り組みは、依然としてまだ不十分であると憂慮している。

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