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「ローソン銀行」17年遅れの参入、セブン銀は新型ATMで突き放す

2018年10月22日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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セブン銀行
ローソン銀行の営業開始と同日、セブン銀行は交通系電子マネーへのチャージ機能をATMに追加した Photo by Takahiro Tanoue

 実に7年ぶりとなる銀行業への新規参入を果たしたローソン銀行が、10月15日に営業を開始した。中核となるのは、全国のローソンに設置されているATM事業だ。預金口座の開設をはじめ、地域銀行との連携強化や、将来的にはクレジットカードの発行などをする予定だ。

 この新規参入に対しては、懐疑的な声が少なくない。超低金利が長らく続く中で「あらゆる銀行が稼げない時代」(金融関係者)に突入しているからだ。

 ローソン銀に先立つこと17年前にコンビニ銀行としてスタートしたセブン銀行にしても、今や再加速の気配はない。単体収益の9割、連結収益で8割以上を占めるのが、ATMの利用者が提携金融機関の口座から現金を出し入れしたときに得る手数料だ。金融商品の販売代理業務も手掛けてきたが、収益源にはならず“一本足打法”から抜け出せてはいない。

 そうした中、事業方針にさほど目新しさがないローソン銀については「なぜ今さら銀行免許を取得したのか」(メガバンク行員)という声が上がる始末だ。

 しかもセブン銀は、ローソン銀が営業を開始した同日、交通系電子マネーや「楽天Edy」にチャージできる機能をATMに追加すると発表。セブン銀の舟竹泰昭社長には「キャッシュレス化が進む中で新しいATM像をつくる」という思いがあり、先駆者としての自負を示したといえる。

コスト面の障壁を打破

 そしてキャッシュレス化がじわりと進む中、注目されるのは、アプリを入れるとすぐにVISAのプリペイドカードをスマートフォンで利用できるサービスを提供するベンチャー企業、カンムと9月に提携したことだ。

 提携する金融機関数が頭打ちの中、電子マネーへの入金でも手数料収入を得られるなど「環境変化に合わせて提携先を増やす」(セブン銀行業務推進部の膳和範次長)ことで、手数料収入と来店客を同時に増やすことができる。

 それだけではない。通常の金融機関との提携には「CAFIS」と呼ばれる専用回線を用いるため、「数千万円規模の費用を提携先が負担する必要がある」(IT企業幹部)。だが、今回のカンムとの提携では「セブン銀行が開発した共有回線を使用する」(同)ことで負担を大幅に軽減したのだ。提携先の拡大に向け、新興企業にとってネックとなるコスト面の障壁を取り払ったというわけだ。

 相次いでキャッシュレス対応を進めるセブン銀は、2020年にも新型のATMを全国展開する予定で、さらなる非現金決済への対応に力を注ぎ、ローソン銀を突き放す構えだ。

 既存のATMがあるためにゼロからの出発ではないとはいえ、“数周回遅れ”のローソン銀の成否は、スタートダッシュに懸かっている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 田上貴大)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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