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さくらの熱量チャレンジ ― 第27回

ユーザー体験を向上する画像変換サービス、開発元と導入企業の4氏にそれぞれの思いを聞く

ピクシブ×さくらの「ImageFlux」はどのようにして生まれ、メルカリやBASEはなぜ採用したのか

2018年11月06日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

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一般提供開始前からメルカリが採用、「サービスとして育てていただいた」

 ピクシブ、さくらの両社が共同でプロジェクトを立ち上げるうえでは、もうひとつの偶然もプラスに作用したという。それはメルカリとの関係だ。

 「ピクシブ単独でサービス立ち上げを検討していたときに、画像変換のニーズがありそうな企業にヒアリングをして回りました。そのうちの1社がメルカリさんでした」(道井氏)

 メルカリは国内最大のフリマアプリであり、今年7月には累計出品数が10億を突破している。1商品あたり最大4枚の画像がアップロードできるほか、ユーザーのプロフィール画像なども別途アップロードされる。これにより、毎日数百万の画像オブジェクトが増え続けているという。

 当時のメルカリでは、サービス利用者の急増に伴ってAkamai CDNにおける画像のキャッシュヒット率が顕著に低下しており、その問題を緩和するべく「中間キャッシュサーバー」(Akamai CDNの前段に入れるキャッシュサーバー)の導入を検討していた。それに加えて、将来的には、動的な画像リサイズやWebPへのフォーマット変換を行い、画像トラフィックを最適化する仕組みも導入する計画だった。

 こうした画像キャッシュ/画像変換サーバーのインフラには、数Gbpsクラスの太いインターネット回線と大量のサーバーリソースが必要になる。メルカリではその要件を満たす事業者を比較検討しており、その候補の1社がさくらインターネットだった。

メルカリ 久保達彦氏

 「さくらさんとは当初、動的な画像変換の仕組みはメルカリで構築し、そのインフラだけをご提供いただくという話で進んでいました。ところがある日、秋元さんから『うちでも画像変換できるようになりました!』という連絡が入りまして(笑)。それがImageFluxだったわけです」(メルカリ 久保氏)

 ImageFluxによって、メルカリが抱えていた2つの課題を一度に解決できる見込みが立った。他のインフラ事業者にも概算コストを聞いたうえで、コストメリットが最も高そうだったImageFluxを採用することが決定した。

 こうした経緯もあって、ImageFluxは一般提供開始前の段階でメルカリが試験導入することになった。メルカリでは導入効果を測りながら、アプリの一部分から段階的にImageFluxの適用を進めていった。また2017年夏頃からは、配信画像のWebPフォーマット変換機能も利用している。

 道井氏は、ピクシブ社内向けに運用していたサービスをImageFluxとして一般提供するにあたって、特にスケール面での性能強化に力を注いだと語る。その点でさくらとのパートナーシップは心強く、「インフラ面はさくらさんに安心して任せられたので、ピクシブ側では画像変換の技術開発に集中できました」(道井氏)。ちなみにさくら側も、CDNサービスの「ウェブアクセラレータ」とインフラの一部を共有するなど、効率的なインフラ投資ができたという。

 ピクシブ、さくらそれぞれの技術力に加えて、一般提供開始前の段階でメルカリという国内有数の大規模ユーザーが参加したことが、ImageFluxのスケーラビリティ改善に大きく役立つことになった。正式リリース開始までに、ImageFluxのインフラ環境は高負荷に耐えうる設計に鍛え上げられたという。

 「プロジェクト立ち上げから正式リリースまでの約1年間、メルカリさんにはサービスの至らない点も許容いただきながら『ImageFluxをうまく育てていただいた』と感謝しています」(さくら 秋元氏)

 なお、メルカリにおけるImageFluxの導入背景や実際の効果については、以下のページで詳しく紹介されている。

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