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関空の台風被害は「人災」、背景に民営化と日仏経営陣の不協和音

2018年10月16日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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関西国際空港
オリックス側の山谷佳之CEO(右)とヴァンシ側のエマヌエル・ムノントCo-CEO(左)。「日仏対等経営」のひずみが出ている Photo:JIJI

「彼らの稚拙さには全くあきれてしまう」。ある航空会社幹部はため息をついた。「彼ら」とは関西国際空港を運営する関西エアポートの経営陣のことだ。

 9月4日、台風21号により関空に甚大な被害が発生し、8000人の乗客と関係者が空港島に閉じ込められたことは記憶に新しい。高潮が発生して地下の電源装置が冠水し、全館が停電した。加えて連絡橋にタンカーがぶつかり、通信回線が遮断された。

 航空会社や関西財界の間で、この大混乱は「想定外の災害」ではなく、「起こるべくして起こった人災」との批判が根強い。関西エアは関空が民営化した2016年4月、オリックスと仏ヴァンシを中心に発足した合弁企業で、「対等経営」の方針の下、両社から同格の経営幹部を置く。その体制に問題があり、“不協和音”が聞こえていたからだ。

 この問題が何ら解決されないまま、同30日、今度は台風24号が関空を襲った。同じ轍を踏まないようにと関西エアが断行したのが計画閉鎖だ。防波堤に土のうを追加したものの、抜本的な電源の防水対策は間に合わず、再び冠水する恐れがあったからだ。

 計画閉鎖の着想はこうだ。台風通過のピークは5時間程度で、応急処置的な電源の防水対策には準備と撤去でそれぞれ7時間かかる。だからこれらを足して計19時間、滑走路もターミナルも全て閉鎖してしまえば一番安全だ──。

「これじゃ単なる、人と飛行機の“閉め出し”だよ」と前出の幹部は吐き捨てるように言った。計画閉鎖といえば聞こえがいいが、24時間運営を使命に巨額の費用を投じて建設された関空が19時間も閉鎖したのでは、役目を果たしていない。この手法がもし恒常化すれば、関空に就航する航空会社はダイヤや機材繰りなど戦略の再考を迫られる。利用者にも影響は及ぶ。

“危うい”予兆が顕在化

「日本人とフランス人の経営幹部同士、信頼関係がまるでない」(関空関係者)。関西エア発足以降、社内外で同社幹部のコミュニケーション不全が指摘されてきた。

 加えて日本の空港運営ノウハウに乏しいことも、現場のオペレーションに悪影響を及ぼしている。そうしたひずみが、台風襲来の緊急事態で露呈した。

 さらに懸念されるのが、民営化前の旧体制から要職に就く社員の退社が相次いでいることだ。人事・報酬体系の変更や、全国で空港民営化が盛んになっているのを背景に、「毎月2~3人、優秀な人ほど転職している」(同)。

 年間1500万人の外国人客が利用する関空の雲行きが怪しくなれば、観光立国政策を揺るがすことになりかねない。

 民営化のひずみか、それとも関西エアの経営体制を見直せば解決する問題なのか。暗中模索は続きそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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