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サイコムのRyzen7機「G-Master Spear X470A」で検証

GeForce RTX 2080 Tiの実力はAMD環境でも発揮できるのか!?

2018年10月13日 11時00分更新

文● 宮里圭介 編集● ジサトラカクッチ

提供: サイコム

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AMD Ryzen環境でGeForce RTXのパフォーマンスはどこまで発揮できるのか?

 AMDのRyzenは多コア化することで性能を押し上げ、Intel CPUと同等かそれ以上のトータル性能を実現している。そのため、コア当たりの性能が重要となるゲーミング性能では、若干見劣りしてしまうという傾向がある。

 具体的な数値で見てみよう。過去のテストデータとなるが、GeFroce GTX 1080 Tiを搭載したPCを使った場合の、軽量級ベンチの代表ともいえる「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(以下、FF14ベンチ)と、比較的重たいベンチとなる「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(以下、FF15ベンチ)の2つの結果だ。解像度はどちらも1920×1080ドットで、フルスクリーンで実行している。

同じGeForce GTX 1080 Tiを搭載したPCでも、Ryzen 7 2700XとCore i7-8700Kではこれだけ性能に差が出てしまう。

 評価基準の異なるベンチなのでFF14とFF15で別のグラフにするべきなのだが、便宜上まとめてしまった方が見やすいので一緒に表示している。これだけ見ると、Core i7-8700Kの方がCPU性能が高いぶん、ゲーミング性能も高いのかなと勘違いしてしまいがちだが、CPU単体での演算性能は、Ryzen 7 2700Xの方が上だ。CINEBENCH R15を使ったスコアで言えば、Core i7-8700Kが1426cbというのに対しRyzen 7 2700Xは1748cbと、2割以上も高くなっている。

 ただし、シングルスレッドでの性能はCore i7-8700Kが205cbとなるのに対し、Ryzen 7 2700Xは175cbとかなり低い。最近のゲームこそマルチスレッド対応が進んできているものの、そこまで高度な分散処理が必要となるゲームは少なく、現実的なところで考えれば、4コアくらいあれば間に合ってしまうものがほとんどだろう。そのため、シングルスレッドにおける性能差がゲーミング性能に出ているのでは、と考えられるわけだ。

最新のGeForce RTXでもRyzenが不利なのかを検証する

 ここまでがGeForce GTX 1080Tiを使った場合の話。GeForce RTX 20シリーズでも同じような傾向となるのか、はたまた、GPUの世代が変わることで何か大きな変化が出るのか、まずはこの点を確認してみよう。過去データと同じようにFF14とFF15のベンチを使い、グラフ化してみた。

傾向としてはGTX 1080 Tiとまったく同じだが、負荷が高いFF15の高品質ではRyzen 7とCore i7との差がグッと縮まっているのがわかる。

 どのベンチ結果もCore i7-8700Kの方が上という結果は変わっていないのだが、注目したいのはその割合。わずかではあるが、その差が縮まっているのだ。特に重たいFF15ベンチの結果は顕著で、15%前後あった性能差が、10%前後まで改善されていた。

 もちろん、単純にドライバーのバージョンアップなどでRyzen環境での性能が改善されている可能性もあり、過去データではなく今の環境でGeForce GTX 1080 Tiを使えば同じように差が縮まっていることも考えられる。とはいえ、少なくとも最新環境であれば、Ryzenでのゲーミング性能は以前よりも改善されている、というのは間違いないだろう。

 せっかくなのでもうひとつ別のベンチとして、「3DMark」のDX11世代となる「Fire Strike」と、DX12世代となる「Time Spy」の結果も見てみよう。

テストとしては軽くなるFire Strikeでは差があるが、Time Spyではほぼ同じになっていた。

 CPU性能が大きく影響することもあってゲーム性能の比較としては微妙だが、3D性能で負けるぶんをCPU性能で取り返した結果、Time SpyではRyzen 7 2700XがCore i7-8700Kとほぼ同じスコアまで追い上げているというのが面白い。

さらに実ゲームのベンチモードで性能を比べてみる

 もう少し実ゲームに近い性能を比べてみようと、ベンチモードをもつ「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」「Strange Brigade」でも性能を比較してみよう。特にトゥームレイダーはトータルだけでなく、CPUとGPU個別の性能もチェックできるだけに、今回の比較ベンチとしては最適だ。

 解像度は1920×1080ドット、グラフィック設定にプリセットの「最高」を使った場合の結果を比べてみよう。

左がRyzen 7 2700X、右がCore i7-8700K環境での詳細値。平均で比べると、Core i7の方がCPUの値が高くなっているのがわかる。

 CPUの性能から見てみよう。「CPUゲーム」の平均はRyzen 7 2700Xが110に対して、Core i7-8700Kは137、「CPUレンダリング」の平均はRyzen 7 2700Xが165に対して、Core i7-8700Kは200と、Core i7-8700Kが大幅にリードする結果となっていた。続いて「GPU」の値を見てみると、Ryzen 7 2700Xが144に対して、Core i7-8700Kは148と僅差になっている。

 この結果を見る限り、ゲーム性能でいえばCore i7が有利となっているというのは先のベンチ結果と変わらないようだ。ただし、どちらのCPUを使った場合でも、グラボの性能はほとんど変わらず、しっかりと性能を引き出せているようだ。

 もうひとつのゲーム、「Strange Brigade」はスコアの詳細が出ず、フレームレートが表示されるだけというシンプルなものなので、こちらは数値だけをグラフで紹介しておこう。かなり軽めのテストということもあり、解像度を1920×1080ドット、2560×1440ドットと変えて、2パターンでテストしている。

「Strange Brigade」のベンチマークでも、Core i7-8700Kがリード。とはいえその差は10%もない。

 こちらもCore i7-8700Kがリードしているというのは変わらないが、その差は10%未満。数値はフレームレートとなるため、どちらのCPUであっても快適に遊べるというのは変わらないだろう。

 ここまでいろいろと結果を見てきたが、CPU性能では勝るRyzen 7 2700Xであっても、ゲーム性能に限って言えば、Core i7-8700Kから10%ほど性能が落ちると考えておくのがよさそうだ。とはいえ、結果を見てもらえるとわかる通り、どちらの場合でもフルHDの高画質でゲームを楽しむ分にはオーバースペックともいえるスコアだ。遊ぶだけであれば、CPUの違いを意識する必要はないだろう。

 ただし、このCPU性能を意識して欲しいのが、ゲーム動画の録画や配信、ながらプレイといったように、ゲームとは別にCPU負荷の高い処理をかけるという場合だ。こういった用途ではCPU性能の高さが活きてくる。

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