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定年後に「実務型顧問」という働き方、普通の会社員でもなれる!

2018年10月04日 06時00分更新

文● 藤崎雅子(ダイヤモンド・オンライン

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大企業の役員経験者が退職後に「顔役」としてなるもの――顧問には、そうしたイメージが強いだろう。しかし、最近増えているのは、“普通の会社員”だった人がなる「実務型顧問」である。

「顔役」にとどまらない
実務型顧問が増加

普通の会社員がなる「顧問」が増えている
営業、マーケティング、新商品開発、海外進出など、“普通の会社員”としての経験を生かして顧問になるケースが増えている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「定年退職後にどんな生活を送るか」――会社員にとって、50歳前後から気になり始めるテーマではないだろうか。

 人生100年時代。定年と同時に完全にリタイアするのは収入面の不安が大きいし、まだ働きたいという気力も体力もある…そんな人に知ってもらいたいのが、「顧問」という働き方だ。

 顧問というと、元は大企業の役員クラスの人が退職後、人脈やネームバリューを生かして務める「顔役」とのイメージが強いだろう。

 しかし、近年、そうした顔役とは一線を画す、「企業の課題解決に当たるエキスパートとしての顧問」が注目されるようになった。キャリアを通じて培ってきた経験や専門性を生かし、現場のメンバーと共に直接的に企業の事業に参画することから、「実務顧問」とも呼ばれている。

 例えば、食品メーカーで新卒から働いてきたAさんは、定年退職後、素材メーカーの新規事業開発部にて実務顧問に就任。2週間に一度出勤し、かつての勤務先で新商品開発に携わった経験を基に、市場調査やマーケティングに対する助言などを行っている。

 また、携帯電話メーカー社員時代、インドネシアに駐在していたBさん。国内で飲食店を直営・フランチャイズ展開してきた企業がインドネシア進出を進める際、実務顧問として招かれ、現地での経験や人脈を生かして販路開拓に直接的に貢献した。

 このように、「真面目に会社員生活を送ってきた」という経験を武器に、実務顧問として働く人が増えているのだ。

営業や技術指導など
現場で培った経験にニーズあり

 では、なぜ実務顧問が増加しているのか。

 自身の顧問経験を基に『あなたのキャリアをお金に変える! 「顧問」という新しい働き方』(集英社)を上梓した、プロフェッショナル顧問協会代表理事・齋藤利勝氏はこう語る。

「めまぐるしい社会変化の中、次々と出てくる課題に対応していくための人材の不足にあえぐ企業が少なくありません。その打開策には、中途採用やコンサルタントへの依頼がありますが、その課題解決に必要な経験とノウハウをもつミドル世代・シニア世代を実務顧問として一定期間招き入れるほうが、手間や費用が抑えられます。当初、IT系など急成長の途上にある企業が中心に実務顧問を活用していましたが、今では大手企業でも一般的になってきました」

 実務顧問に期待される業務は幅広い。

 左の図にあるように、営業組織強化やマーケティング戦略立案、海外進出、コスト削減、技術者の指導、新商品開発など企業が抱える様々な課題に対し、実務顧問は経験や成功ノウハウ、業界知識などをもって課題解決に当たっている。

「自分に顧問なんて務まらないのでは?」と思う人もいるだろうが、「長年真摯に実務経験を積んできた人であれば、何かしら提供できるスキルがあるはず」と齋藤氏。自分自身は「当たり前」と思っているスキルや経験が、別の会社にとっては「当たり前」でなく、組織変革や業務改善につながることも少なくないという。

実務顧問になるには
どうしたらいいか?

 実務顧問として働き始める一般的な方法は、まず人材サービス会社に顧問登録することだ。

 近年、人材サービス会社が次々と顧問業界に参入。パソナの「パソナ顧問ネットワーク」、エスプールの「プロフェッショナル人材バンク」、サーキュレーションの「顧問サービス」など、多くの顧問派遣サービスが誕生している。これらに顧問登録することで登録会社から顧問案件の紹介を受けられ、相手先企業との面談等を経て顧問として働き始める。

 ただし、登録さえすれば仕事がくるとは限らない。齋藤氏によると、現在、人材サービス会社に登録している顧問は延べ8~9万人だが、実際に稼働しているのはその5%程度だという。人材サービス会社は、長期で契約が見込めそうな顧問登録者に優先的に仕事を紹介するからだ。

「顧問として活躍するためには、自分の強みを分析し、それをいかに的確にアピールするかがカギとなります。さらに、顧問を長く続けるためには、マーケットの進化に合わせて新たな情報をインプットし、自分のスキルを磨き続けることも大切でしょう」(齋藤氏)

 そうアドバイスする齋藤氏は、営業部門中心の会社員生活を経て44歳で顧問として働き始め、これまで約150社に携わってきた。

「携わる企業の数だけやりがいや楽しさがあり、それを一緒に分かち合う仲間がいる。そんな顧問の仕事を始めて、人生がいっそう豊かになったように感じます。また、これまで勤務した会社で学ばせていただいたことを多様な場面で還元していくことは、社会貢献の1つともいえるのではないでしょうか」

 責任も大きいが、やりがいも大きそうな顧問の仕事。定年退職後の新たな選択肢の1つとして定着していくかもしれない。

(藤崎雅子/5時から作家塾(R))


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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