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仮想通貨の闇、半年で行政処分を3度受けた交換業者の杜撰内情

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仮想通貨取引所「Zaif」から約70億円相当の仮想通貨の流出事故を起こした、交換業者テックビューロ。同社に対し3ヵ月に1度のペースで処分を下すことになった金融庁からは、行政による監督・指導が全く通じないことへの深いため息が聞こえてくる。(週刊ダイヤモンド編集部 中村正毅)

Zaif公式サイト画面
Zaif公式サイトのトップページでは不正流出に関するお詫びが掲出されている 拡大画像表示

 今年1月、約580億円に相当する仮想通貨流出という「コインチェック騒動」で業界に激震が走る最中、テックビューロは顧客獲得のチャンスといわんばかりに、女性タレントを使ったテレビ広告を大量投下していた。

 その同社に対し、金融庁による本格的な立ち入り検査が入ったのは2月13日。コインチェック騒動を踏まえた業界各社への一斉検査だったため、本来であれば取引の安全性について、監督官庁を通じて世間にアピールする絶好の機会だったはずだ。

 しかし、入検直後から発行上限の100倍ものビットコインが取引できてしまったり、ログインできなかったりといったシステム障害が繰り返し発生。原因究明や再発防止といった事後対応の拙さも重なって、今年3月には改正資金決済法に基づく業務改善命令が下されることになった。

 テックビューロの企業体質が厳しく問われるのは、ここからだ。行政処分を受けて同社は、業務改善に向けて計画をつくり、その進捗状況を金融庁に毎月報告していた。にもかかわらず、金融当局から求められていたリスク管理態勢の構築などについて、実際には「取締役会などで議論をした形跡が見当たらない」(金融庁幹部)という杜撰な対応をしていたのだ。

 さらに、会社と顧客の資産の分別管理や資金洗浄対策が不十分といった問題が次々に浮上、6月には「登録業者」として初となる2度目の業務改善命令を受けている。

 ここまで厳しい“指導”が続けば、経営陣もさすがに心を入れ替えるはず――。金融庁がそうした淡い期待を抱いたのもつかの間、テックビューロは今回の流出事故への対応を通じて、その期待をことごとく裏切ってみせた。

 まず、不正アクセスによる仮想通貨の流出が起きたのが、9月14日のこと。ところが、サーバーが異常を検知したのは週明けの17日であり、さらに不正アクセスによる流出被害を確認したのは翌18日だったというのだ。

「シリコンバレーで金融サービス開発に携わっていた人材が採用され、欧米型の数理モデルによる不正検知が導入されている」

 自社のウェブサイトでそう高らかに謳っておきながら、なぜ被害の確認までに4日もかかるのか。どのような経路で不正アクセスされ、流出に至ったのか。顧客被害に今後どう対応していくのか。そうした当然の疑問・質問に対し、流出から10日以上経った段階でも、テックビューロはまともに説明できなかったという。金融庁の職員たちも怒りを通り越して、ため息をつくしかない始末だ。

 そうして3度目の行政処分を受けることになったわけだが、そんな体質の交換業者であっても、国からの“お墨付き”を得た登録業者としてお金を集めることができてしまうのが、今の仮想通貨業界の実情だ。

「こんなことで、イノベーション(技術革新)の火を消したくないね……」。部下からの報告を受けて、ため息交じりにそう話した金融庁首脳の目線は、ずっと下を向いたままだった。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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