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スルガ銀の業務停止は必至、他地銀との合従連衡も取り沙汰

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スルガ銀行記者会見
9月7日、中村直人弁護士(右)ら第三者委員会と、スルガ銀行の有國三知男新社長が記者会見を開いた Photo by Takahiro Tanoue

 地方銀行随一の収益性を誇ったスルガ銀行は、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」に絡む不正融資問題でメッキが剥げた。9月7日に発表された第三者委員会の調査報告書では、不動産投資向け融資での「無法地帯」(大手地銀関係者)ぶりが、白日の下にさらされている。

 この分野は近年のスルガ銀の稼ぎ頭だったが、裏では審査を通すために行員が不動産業者に数字の偽装を依頼したり、ノルマ必達に向けて営業現場ではパワハラが横行したりした。「数字ができないならビルから飛び降りろ」など、公共性を重んじる銀行とは思えない罵詈雑言が飛び交っていたという。

 さらに、「情報の断絶があり現場の問題が経営層に上がらない」(中村直人・第三者委員会委員長)といったガバナンスの機能不全も露呈。収益性の高さ故、創業家を中心とする経営陣は暴走する営業部隊を放任していたわけだ。

 もっとも、不正融資の件数や関与した行員数はいまだ不明瞭で、11月発表の中間決算をめどに、自己査定を急いでいる。

資本拡充も視野に入る

 次なる焦点は、査定後に貸し倒れに備えて積み上げる引当金がどれだけ増加するかだ。

 そもそも銀行には、貸し倒れリスクのある資産に対する自己資本の比率を、一定以上に保つ規制が設けられている。引当金が膨らんで最終赤字になれば、自己資本比率に影響が出る。

 スルガ銀は、引当金を2018年3月期決算で580億円積み、今期の第1四半期で88億円積み増した。一方、不動産投資向けの融資残高は1兆9000億円(18年3月期末)もあり、有國三知男新社長は「査定で不正があったものを確認し、必要ならば引当金を積む」と言う。だが、「不正がない案件など全体の1%程度」(行員アンケート)と言われるありさまで、引当金が幾らになるかは不透明だ。

 仮に引当金が膨れ上がれば、業務の継続には資本の拡充が必須となる。増資以外では、「数年後の売却をもくろむ投資ファンドが手を出す」(大手銀行OB)可能性が挙がるが、「彼らは拒否権を発動できる3分の1超の株式取得に動くだろうが、まだ創業家や関連会社が大量の株式を保有していて調整が要る」(同)と課題が多い。

 また、他の地銀との合従連衡も取り沙汰されるが、前出の地銀関係者は「(まだ株主の)創業家の岡野光喜前会長は、周囲の横浜銀行や静岡銀行の経営陣との折り合いが悪く非現実的。(実現には)スルガ銀側が“三顧の礼”で迎える姿勢が必要だ」と指摘する。

 不正乱発のスルガ銀には金融庁の行政処分は必至。一部業務停止命令も免れないという見立てが大半だ。加えて、創業家の関連会社への不適切な融資があったのではないかとも指摘されており、スルガ銀はまさに五里霧中といえよう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 田上貴大)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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