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車とスマホがつながるSDLの世界第1回

スマホの安全利用をはかる仕組み

車・バイクとスマホを連携させるSDL規格の基礎知識

2018年09月21日 11時00分更新

文● 柴田文彦 編集●村山剛史/アスキー編集部

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Q:SDLのメリットは?
A:車両データがスマホアプリで利用可能に

 規格としてのSDLは、SDLコンソーシアムに参加するメーカーや事業者が従うべきもので、機器・サービスの開発者やプロバイダーのためにある。しかしSDLそのものは、その規格に則って生産されたハードウェアや提供されるサービスを利用するユーザーのメリットを最大化するためのものでなければならないのは当然のこと。

 SDLによってユーザーが享受できるメリットの最大のものは、すでに述べたように、より安全に、かつより便利にスマホを車内や運転中に利用できるようになることだ。

 近年、車を運転しながらスマホを操作したことによって発生した交通事故のニュースが後を絶たない。SDLでは、ユーザーがスマホを手に取って、その画面を見ながら操作する必要がなくなるような仕組みを用意している。具体的には音声などによる入力、操作方法の提供と、スマホ画面に表示される情報を運転の障害にならない車載ディスプレイなどに投影する機能だ(図4)。

図4 SDLでは、スマホを直接操作しなくて済むよう、アプリ画面を車載器のタッチディスプレイに表示し、ボタンやマイクなど、車載の入力装置も可能な限り利用する

 もう1つは、車を運転中、あるいは車で移動中だからこそ有益な情報が得られるようになること。この具体例を、現時点で挙げることは難しいが、情報ソースの違いも含めて、いろいろと考えられる。

 SDLでは、車自体が持っている情報、例えば走行速度、エンジン回転数、燃料残量といったものを得られるようになる可能性がある(図5)。そうした情報を取得できれば、より安全で快適な運転につなげることもできるだろう。

図5 車メーカーの認可を取得する必要があるが、スマホアプリから車自体の情報にアクセスすることも可能

 また、車載GPSからの位置情報を得ることで、スマホをカーナビとして利用することも容易になる。もちろんカーナビ画面は車載ディスプレイに表示し、操作は画面へのタッチや、音声で可能となる(図6)。SDLに対応した車載カーナビを装備している場合には、スマホからカーナビに対して目的地を設定することもできる。

図6 スマホアプリは、車に搭載されたGPSのデータを受け取ることができ、画面をそのまま車載器のディスプレイに投影して、カーナビとして使うこともできる

 さらに、スマホにインストールして使用するSDL対応アプリも、インターネットから得られる様々な情報に加えて、車の状態や現在位置を利用できるようになる可能性が高い。それにより、ユーザーのニーズに合わせてデータを処理し、運転中の状況に沿った的確な情報を提供できるようになるはずだ。スマホ単体の場合とは比較にならないような利便性が生まれる余地が拡張されるだろう。

Q:どんな製品が対応するの?
A:最低限カーナビとスマホは必須

 SDLが意味のある動作をするために対応が必要なデバイスについて考えてみよう。まず基本となるのは、言うまでもなく車だ。もし、車がSDL対応機器に対して、上で述べたような車本体に関するデータを提供できるなら、他の機器からのリクエストに応じて、そうしたデータを提供する機能を備える必要がある。

 また、車のステアリングホイール(ハンドル)に設置されたボタンや、車載マイクを、SDL機器への入力装置として利用する機能もある(図7)。そうした車載機器の入力デバイスが対応すれば、より安全性の高い運用ができるだろう。

図7 車本体がSDLに対応していれば、ハンドル上に設置されたボタン類や車載マイクなどをアプリから入力装置として利用できる場合もある

 しかし、車の操作や動力に関係する部分がSDLに必ずしも対応している必要はない。むしろSDLと最も緊密な対応が必要なのは、カーナビやカーオーディオなどの車載器だ(図8)。

 これは、メーカー純正の車載器がSDLに対応していなくても、ユーザーが後から搭載するカーナビなどの機器がSDLに対応していれば、その車をある程度SDL対応にできることを意味している。もちろんカーナビだけでは車本体の情報を得ることはできないかもしれないが、車載器のディスプレイやタッチパネルを利用して、スマホ上のアプリを動かすことは可能となる。

ユーザーが搭載する車載器がSDLに対応していれば、アプリの画面を車載器のディスプレイに表示したり、車載器のタッチパネルでアプリを操作することも可能

 残る最も重要な対応は、言うまでもなくスマホ側だ。とはいえ、スマホのハードウェアやOSには、特にSDLに対応すべきところはない。スマホと車載器はUSBまたはBluetoothによって接続されるからだ(図9)。SDLへの対応は、個々のアプリの責任となる。これはサードパーティーのアプリ事業者や開発者にとって、むしろ大きなメリットとなるだろう。

SDLに対応したアプリは、ほとんどすべてのスマホが装備しているUSB(有線)またはBluetooth(無線)によって車載器と接続され、互いに通信して動作する

 SDLは全世界に向けて展開する規格だが、当面は日本での普及率が最も高くなると予想されている。SDLに類する何らかのデバイスリンク機能を装備した四輪車のうち、80%近くがSDLに対応すると見積もられている。これは台数にすると380万台以上となる。世界的に見ると、SDLを搭載した車は2024年には四輪車だけで2.5億台、二輪車は5700万台に達するという展望が、調査会社の英IHS Markit.より示されている。

 こうした傾向を見ると、各種機器メーカーやアプリ事業者は、とりあえず日本国内の市場への対応から始めてノウハウを蓄積しておけば、そのうちに世界規模のマーケットが育ち、自動的にチャンスが拡大するという展開が期待できるだろう。

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