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1泊100万円も!お寺の宿泊施設「宿坊」がビジネスに

2018年08月02日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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外国人からの人気も高い宿坊
宿坊は外国人からの人気も高く、写経などの有償サービスへの波及効果も大きい。お寺の新たな収益源となりそうだ(写真は高野山の西院) Photo:KOUJI KUSUMOTO/SEBUN PHOTO/amanaimages

 民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行されて1カ月半たつが、全国の届け出件数は今なお、6000件に満たない。かつて民泊予約サイトのエアビーアンドビーに登録されていたのが6万2000件だったため、宿の供給が9割減った計算になる。

 そんな中、民泊の救世主になりそうなのが宿坊だ。もともとは僧侶や信者向けの宿泊施設だが、旅行者が泊まれるところも多い。時期と部屋にもよるが、和歌山県の高野山では1泊1万~3万円。部屋にはエアコンやテレビがあり、朝の勤行に参加できるなどの特典も付いていて、訪日外国人から「日本らしい体験ができる」と人気を集めているのだ。

 そこに目を付けた楽天の民泊子会社、楽天ライフルステイは、宿坊予約サイトの「テラハク」を運営する和空と提携した。第1弾となるのは、滋賀県大津市の三井寺(正式名称は園城寺)。運営は和空が行うという。

 和空は、エアビーやオンライン予約サイトのブッキング・ドットコムとも提携している。「外国人の関心は高いが、7割が日本人客になりそうだ。年内に100軒、3年後に1000軒の登録を目指す」(和空の田代忍社長)としており、台風の目になりそうな勢いである。

免税対象になるか

 和空は、お寺が集中する大阪市天王寺区に宿坊型ホテルを開業。近隣のお寺と組んで、写経や朝の勤行などの体験を前面に打ち出す。来年以降、法隆寺など数カ所で開業し、宿坊の魅力をアピールし、市場拡大を狙っている。

 一方、自ら宿坊ビジネスに乗り出す寺も現れた。京都の仁和寺では、1泊100万円の宿坊を開業した。参拝者が減少している中、宿坊ビジネスで売り上げを補填するのが狙いだ。

「寺による宿坊参入は今後増えていく」と業界関係者は言う。もともとお寺は火災対策に力を入れてきたため、宿坊に改修するのに掛かる投資額も古民家などに比べて安価で済むという。宿坊ができれば、写経体験などの有償サービスも広がり、「一般の人に教えを広めたい」という僧侶の気概もあって、こちらも増えるのは時間の問題といわれる。

 気になるのは宿坊ビジネスの課税の有無だ。1泊1000円を超える宿泊は収益事業と見なされ、課税対象になる。簡易宿所や民泊という形での宿坊となれば、都道府県などへの届け出が必要なため、“免税”は不可能だ。

 もっとも、無償で泊め、お布施という形で宿泊料を徴収するとなれば、宗教法人として免税となる可能性が出てくる。ただし、旅行業界関係者は、「集客のために宿泊サイトに登録せざるを得ず、料金を明記するため、現実的ではない」とみる。いずれにせよ、宿坊がビジネスとしてますます注目を集めそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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