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マットレスのカスタムオーダーを3分半で、エアウィーブ2020年への野望

2018年07月30日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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 フィギュアスケートの浅田真央さんやテニスの錦織圭選手の広告で知られる寝具メーカー、エアウィーヴの業績が好調だ。

エアウィーヴ

 同社は2007年、独自開発した繊維素材「エアファイバー」を使ったマットレスパッド「エアウィーヴ」の販売を開始。テンピュールに代表される低反発マットレスと違い、高反発マットレスは復元性が高く、睡眠中の寝返りを妨げず、無駄な筋力を消耗しないですむため、深く眠れるという。にもかかわらず、当初は知名度の低さもあり、年間売上高は1億円以下にすぎなかった。

 ところが、11年、かねてエアウィーヴのユーザーだった浅田真央さんとブランドアンバサダー契約を締結。それを契機に知名度が高まり、多くのトップアスリートからも支持を得た。

「身体の微妙な変化がわかる、感覚が研ぎ澄まされたアスリートに使ってもらい、選手たちがずっと使い続けたいと思える商品として信頼を得る」(高岡本州・エアウィーヴ会長兼社長)とのブランド戦略が奏功し、業績が急成長。12年度の売上高は前年比で約5倍の54億円、さらに14年度には100億円の大台を超えた。

 今では全国のホテル・旅館の約2万床が導入。さらにJAL国際線ファーストクラスなど、BtoBもすでに売り上げの約3割に上っており、17年度は135億円。さらに今年度は150億円に達する見通しだ。

「睡眠負債」で注目
競争激化で新戦略へ

エアウィーヴ ビスポーク
現在は測定に約1時間を要する「エアウィーヴ ビスポーク」だが、将来はわずか3分半へと短縮する予定だ

 昨年には、睡眠不足の蓄積が心身に悪影響を及ぼす「睡眠負債」が新語・流行語大賞のトップ10になるなど、睡眠の質への関心は年々高まっている。矢野経済研究所の推計によると、ベッドリネン・寝具の市場規模は16年で約6800億円に達しており、参入企業が相次いでいる。東京西川は「エアー」、アイリスオーヤマは「エアリー」などの類似商品を展開しており、競争は激しさを増しつつある。

 こうした中、エアウィーヴではさらなる差別化に乗り出している。

 その一つがITを活用したカスタムオーダー事業だ。

 同社では顧客の好みの寝心地に応じてカスタムオーダーする「エアウィーヴ ビスポーク」を展開しているが、体格情報の取得、姿勢の測定・解析、マットレスパッドの選定などに1時間を要している。

 だが、これを新たな計測方法などの導入で、わずか3分半に短縮する。商品化は20年の見込みだ。エアウィーヴは東京オリンピックのオフィシャル寝具パートナーとして、選手村で約3万床の寝具を供給予定で、先述の3分半で測定するビスポークの寝具を提供することも検討している。

 ファッション業界では、スタートトゥデイが昨秋から始めた、身体の自動採寸を行う「ゾゾスーツ」によるプライベートブランド「ZOZO」をはじめ、消費者一人一人の好みや体型にあった一点モノの商品を、大量生産と同様の低コストで生産するマスカスタマイゼーションの流れが本格化しつつある。

 すでに米国ではウェブサイト上で2~3分の簡単な質問に答えるだけで自分用にカスタマイズしたマットレスがオンラインで購入できるヘリックスなど、新たなマットレスベンチャーも台頭している。人生の3分の1を共にする寝具でも、いずれカスタムオーダーが当たり前の時代が来るのかもしれない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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