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ダイキンが業務用エアコン市場で圧倒的に強い理由

2018年07月25日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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ダイキンのビル用マルチエアコン
ダイキンのビル用マルチエアコン。「更新用」を使うと工事の数や時間を圧縮できる Photo by Tomomi Matsuno

「業務用エアコンの受注量がバブル期を超えているかもしれない」(ダイキン工業常務執行役員の舩田聡・空調営業本部長)。業務用空調市場で国内シェア4割を握るダイキンが、特需に沸いている。

 背景にあるのは、大手ゼネコンが首都圏で進める再開発プロジェクトだ。2018年から20年にかけて建設される大型ビル37棟のうち、ダイキンは17棟の受注を獲得。14年以降の同エリアの新築ビル向け受注の約6割を占めている。

 オフィスビルの供給過剰問題は予断を許さないが、舩田氏は「再開発は25年まで続く」と予想している。竣工後20年を超える中古ビルの建て替え需要も順調で、空調市場の拡大が期待できるという。

 実際、ダイキンの中期経営計画でも強気の数字が並んでいる。20年度の空調事業のグローバル売上高目標は15年度比42%増の2兆5900億円。成熟市場の日本でも売上高同18%増の4900億円という高いハードルを課している。

36年前の新規開拓が源泉

 特需に沸く空調業界の中でも、ダイキンは他に抜きんでた存在だ。その要因に1982年にダイキンが開発したビル用マルチエアコン(ビルマル)のブランドがある。

 ビルマルは、部屋ごとに温度を調節するため、省エネ効率が高い。当初は温度を一括して調節する大型空調が主流だったが、ダイキンが“提案部隊”を大量増員したことで日本中に広がった。

 今も全部屋一括管理の大型空調が中心の三菱系デベロッパーを除き、新築大型ビルではビルマルが主流だ。その中で、「ダイキンは他と比較しようがないほど圧倒的なブランド力があり、強い」(大手デベロッパー関係者)。ブランド力の高さはビルマル市場でシェア4割という数字にも表れている。

 ビルマルの市場開拓で鍛えられた営業力もダイキンの強みになっている。業務用空調の受注は、官公庁を除いて「入札」がなく、受注には日頃のコミュニケーションがものをいう。営業マンは、施主や設計事務所、ゼネコンらと太いパイプを築いている。ビルの設計段階から顧客先に入り込んでいるので、省エネに直結する空調配置や戦略的な価格を提案できるのだ。

 設計時点で食い込むためのツールの開発にも余念がない。顧客が、見積書の作成をダイキンに依頼しなくても試算できるアプリケーションをネット上に公開し、設計事務所などを囲い込む。

 また、専業メーカーらしく豊富なラインアップをそろえることで提案の幅を広げている。例えば、大型ビルでは商店、オフィス、ホテルなど用途別に複数の空調を併用することが多く、「市場ごとに売れ筋が変わるため、満遍なくできる方が強い」(舩田氏)。

 競合に先んじて築いたブランド力と取りこぼしをしない営業力を持つダイキンには王者の風格が漂っている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 松野友美)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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