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結婚式大手が初めて手掛けたホテルに欧米客が殺到する理由

2018年07月24日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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東京都渋谷区のトランクホテル
渋谷でありながら落ち着いた雰囲気が外国人客に受けている。客室数が少ないぜいたくなホテルとして、差別化を図ろうとしている Photo by Wakako Otsubo

 東京都渋谷区にホテルや不動産業界関係者がこぞって見学に来るホテルがある。2017年5月に開業したトランクホテルだ。明治通りから少し入ったところにあり、渋谷駅から歩いて約10分、平均客室単価約6万円にもかかわらず、稼働率は90%を超える。宿泊客の8割が外国人で、その7割以上が欧米人だという。

 緑に囲まれた地上4階建てのホテルで部屋数は15室。客室、宴会場、レストランを保有するいわゆるフルサービス型だ。ホテルのコンセプトは「ソーシャライジング(自分らしく社会的な目的を持って生活すること)」。社会貢献としてエコにこだわり、部屋には使い捨てのスリッパの代わりにリサイクル素材で作られた黒いサンダルが置かれ、持ち帰ることができる。

 1階のロビーラウンジでは、パソコンを使って仕事をしている人の姿を目にする。スイートルームにはキッチンが付いており、親しい人が集まってホームパーティーができるなど、既存のホテルとは異なる使い方を打ち出している。

 米「フォーブス」誌など海外のメディアに紹介されたことから、欧米人客の獲得につながった。アジア太平洋地域を対象に革新的なホテルを表彰する「AHEAD Asia 2018」では、ニューコンセプト賞を受賞した。

全国展開へ乗り出す

 このホテルを運営するのは、婚礼大手のテイクアンドギヴ・ニーズ(T&G)。同社の創業者の野尻佳孝会長は、ホテルや結婚式場が主流のウエディング業界にあって、ゲストハウスでの“ハウスウエディング”に着目し、急成長を遂げてきた。

 少子化が進み、“地味婚”や結婚式を挙げないカップルが増えている中、次の成長のドライブとして目を付けたのがホテルだ。

「欧米には、立地が悪くても、そのホテルに泊まりに行くのが目的になるようなブティックホテルがある。これなら既存のホテルと差別化できる」と考えたのだ。

 トランクホテルでは、ホテルをリース会社に引き取ってもらった上で、それを借り受けるファイナンスリースの形を取り、T&Gは経営・運営に特化している。同社の投資はベッドや消耗品など最小限で済む。

 野尻会長がホテルの物件を探す開発担当も兼務しており、今後は古民家やラブホテルなどのリノベーションも視野に入れている。

 野尻会長は、トランクホテルとは別に、100室規模のブティックホテルの全国展開も計画している。地域に合わせたコンセプトで今後10年間で10店まで増やし、ホテル事業で300億~400億円の売り上げを目指す。「3年以内に投資回収する」と、T&Gの岩瀬賢治社長は言う。

 婚礼同様、ホテル業界の革命児になれるかどうか、挑戦は始まったばかりだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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