このページの本文へ

日産・西川社長、新たな不正発覚で即退陣すべき理由

2018年07月17日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
またも不正検査が発覚した日産の山内康裕CCO
昨秋の完成検査問題発覚後も不正が続いたことについて、日産の山内康裕CCO(写真手前)は「問題の根深さ」と、再発防止策が「道半ば」であることを認めた Photo by つのだよしお/アフロ

 日産自動車でまたも不正検査が発覚した。9日、日産のものづくりを統括する山内康裕チーフ・コンペティティブ・オフィサー(CCO)が横浜市で会見し、出荷前の新車の完成検査において、本来は無効とすべき排出ガスの測定値を有効としたり、数値そのものの書き換えを行っていた事実を明らかにした。

 不正が行われていたのは栃木や追浜などの5工場で、計10人が関与。検査は生産台数の約1%を抜き取って行うが、対象の半数以上に不正が加えられていたという。

 日産では昨年9月、資格のない従業員が完成検査に長年従事していた不正が判明している。

 この不正検査は翌月にSUBARU(スバル)でも発覚し、さらにそのスバルの調査の過程で測定値の改ざん問題が新たに浮上したことが、今回の日産の不正発覚につながった。まさに2社で不正発覚の端緒を提供し合う“パス交換”を繰り返しており、いずれも次なる不正発覚を拭い切れないスパイラルに陥っている状況だ。

埋まらぬ経営と現場の溝

 山内CCOは、今回のデータ書き換えと無資格検査の原因は「同根」だと指摘する。

 例えばコンプライアンス意識の希薄さ、あるいは法令と現場職務の実態の乖離。こうしたことが長年放置され、経営陣が把握し切れない状況が続いたことが背景にあるとみられる。ただし今回、あらためて浮き彫りになったのが、経営層と現場の間の深過ぎる溝だ。

 日産は昨秋の不正発覚後、従業員の再教育や監査の改善、経営層と現場のコミュニケーションを増やすといった再発防止策に取り組んできた。経営トップの西川廣人社長兼最高経営責任者(CEO)も、工場を訪れた際に法令順守の重要性を従業員らに伝えていたという。

 だが一部の工場では、スバル問題を受けた社内調査で判明する6月まで不正が続いた。無論、内部通報などで現場から不正を疑問視する声が上がることもなかった。

 それはつまり、経営陣の再発防止への思いが、全く現場に届かなかったことを意味する。あるいはそもそも、経営陣の思いそのものが、現場にしっかり伝わるような重みを伴ったものだったかも疑わしい。

 西川社長は記者会見の場に姿を見せず、その理由について山内CCOは「私が対策、実行の責任者」と説明したが、日産の「顔」である経営トップが自らの思いを語るべきではなかったか。スバルの吉永泰之氏は社長とCEO職を辞したが、西川氏も同様に責任を取り、自らの身をもって事の深刻さを全従業員に伝えるべきではないか。

 山内CCOが認める通り、日産が抱える問題は「根深い」。だからこそ、まずは大前提としてトップが代わらなければ、企業体質の抜本的な改善は望めない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ