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被害1000万円も!悪質占いサイトが「弱みにつけ込む」手口

2018年07月16日 06時00分更新

文● 谷口京子 [清談社](ダイヤモンド・オンライン

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近年、スマホの占いサイトによる金銭トラブルが増加しているという。おもな手口は、1通約1500円の有料メールを占い師宛に送らせるというもの。被害者のなかには数百万円以上の金額をサイトにつぎ込んでしまった例も。悪質な占いサイトの実態とは…。(清談社 谷口京子)

2年で1000万円を
つぎ込んだケースも

悪質占いサイトの被害が後を絶ちません
言葉巧みにメールをやり取りさせ、1通1500円を支払わせる。真面目な性格の人やスピリチュアル好きな人、さらにはうつ病で判断力が失われている人などが被害に遭いやすいという Photo:PIXTA

 当たるも八卦、当たらぬも八卦。この言葉通り、一般的に占いは自己責任の範疇という認識が強いはずだ。ところが近年、ネット上では、悩み相談の性質を備えた占いサイトが増えており、金銭トラブルが増加している。周囲に相談できないような悩みを抱え、第三者の占い師に打ち明けたい、と考えるうちに深みにハマってしまうのだ。

「多方面で被害に遭ったと訴えられている占いサイトの特徴は、被害者と占い師の間で行われる有料メールのやり取りによって、支払金額が増えていく“都度課金”と呼ばれるシステムをとっているケースです。多くの場合、メール1通送るごとに鑑定料として約1500円を支払います」

 そう話すのは、サクラサイト被害対策弁護団団長の瀬戸和宏弁護士。同弁護団に所属する弁護士たちは、これまでさまざまな占いサイトの案件の交渉や裁判を担当してきた。なかには、2年以上にわたって占い師とメールのやり取りを続け、結果的に1000万円近くの金額を支払っていた事例もあるという。

「占いサイトによって回数は異なりますが、一度に10回以上のメールを送るように被害者を誘導することもあります。1通1500円なので、それだけで1万5000円。毎日続けば、相当な金額になりますよね。支払いは銀行送金の他、クレジットカードや電子マネーで行い、被害に遭ったと気づいたときには、いつの間にか多額のお金を支払っていたというケースがほとんどです」(瀬戸弁護士、以下同)

入り口は無料鑑定というワナ
巧みな有料メールへの誘導

 多くのケースでは、占い師側が、相談者がメールを送るように仕向ける仕組みになっている。たとえば、「幸せになる気持ちがあるなら、『信じる』と送信してくれれば鑑定を進め対処する」というものから、4つほどの選択肢を提示して回答のみを返信させるものなどが一般的。どれも有料メールの返信を誘導しているのだ。

 一見して怪しい印象を受ける内容だが、「占い」という性質上、刑事事件で詐欺として立件するのは非常にハードルが高い、と瀬戸弁護士は語る。

「芸能人になりすましてメールを送るなど、荒唐無稽なやり取りをして出会い系サイトに誘導し、高額な利用料をだまし取る『サクラサイト』の場合は、詐欺だと認められます。しかし、占いはその内容自体が“荒唐無稽”。メールの内容についておかしな部分を指摘しても、業者側は『これは鑑定結果です』と反論してくるので、違法行為と主張するのが難しいんです」

 利用者が気づかぬうちに多額の金を巻き上げる悪質な占いサイト。その入り口はさまざまなウェブページに表示されるバナー広告だという。

「はじまりは、無関係なサイトにも表示される『無料鑑定』などのバナー広告。『無料だし占ってもらおうかな』と軽い気持ちでクリックして、誕生日、メールアドレスなどの個人情報を送信。すると、無料で性格診断などの鑑定結果が送られてきたのち、有料メールのエリアに誘導されます」

 占いを続けるためにはポイントの購入が必要になる。1ポイントは10~100円程度。まとまったポイントを購入させて、メールの返信をするごとにポイントが消費されていくというシステムだ。さらに、一度無料鑑定をすると、何の依頼もしていないのに、複数の占い師からメールが届くようになるという。

「だいたい1日に4~5通、多いときには10通を超えるメールが届き、その日の鑑定は終了。しかし、翌日には『◯◯先生の紹介でメールしました』と、同じ占いサイトにいる前日と異なる占い師や鑑定士からメールが届き、有料メールのやり取りが続いていきます」

 占い師からは、特定の文字を何度も送らせたり、画面の文字に触れてから返信させる、などの動作を指示する内容のメールが送られてくる。第三者から見れば何の意味があるのか、いぶかるような話だが、そこは占いの世界ならでは。「無意味な動作ではなく、念を込める作業である」などと、もっともらしい解釈が、占い師と被害者の間のみで成立してしまう。

被害者に多いのは
スピリチュアル好きな人

 また、鑑定の回数はユーザーに知らされず、「最後の鑑定が近づいています」という表現でけむに巻きながら、何度も返信を要求してくるのも特徴だ。

 悪質なサイトの見分けかたとしては「都度課金やポイント制、胸に手を当ててから返信させるなどの動作を要求された場合は、注意が必要」とのこと。一方の被害者側にも、いくつかの共通点がうかがえるという。

「悪質な占いサイトの被害者は、真面目な人が多い印象です。占い師が代わる代わるメールを送ってくることに対して、『みんなが自分のために祈ってくれているから返信をやめられない』という人もいれば、『ここでやめたら災いが訪れるかも』と、不安をあおられてやめられない人も。なかには、うつ病を患っていて判断力が失われているケースも少なくないです」

 無料鑑定の時点で、業者側はユーザーの悩みや個人情報をある程度把握することができる。そのため、ユーザーの悩みや願いに沿った鑑定メールが何度も送られてくるので、ハマりやすいのだ。

「被害者の悩みにも共通点があるので、返信内容や鑑定結果をパターン化している可能性が高いです。恋愛に関する悩み、生活苦などの金銭面の悩みや、不妊の悩み、子どもの将来への不安などが代表的。被害者の苦しい状況につけ込むようなメールが送られてくるんです」

 そのほか、スピリチュアルなものへの興味が強い人も被害に遭いやすい、と瀬戸弁護士。

「無料鑑定をクリックしたからといって、すべての人が都度課金をしてしまうわけではありませんが、性別に関係なくスピリチュアルなことへの関心が強い人がハマりやすい傾向があります。業者側も、そうした一部の層を取り込むことを目的としている可能性が高いです」

相談は消費者生活センターへ
メールは必ず保存を

 もしも自分や身近な人が悪質な占いサイトの被害に遭っていると気づいた場合、まず住んでいる地域の消費者生活センターに相談するべきだろう。

「消費者生活センターに相談し、支払額などの被害の詳細を明らかにした後、センター経由で弁護士に依頼が来ます。その後、返金に関する交渉や手続きを担当の弁護士が行います。多くのケースでは、裁判にまで行かずに返金を受けて解決しています。裁判でも、占いの名を借りた単なる詐欺行為として断定された事案も出てきています」

 実際に交渉を行う際には、証拠の数がカギを握る。そのため、鑑定士や占い師から送られてきたメールや、サイトの管理規約はスクリーンショットで残しておいてほしい、と瀬戸弁護士はアドバイスする。

「裁判がはじまった途端、業者が不利になるような管理規約の表現を書き換えてしまうことがあります。たとえば、占い師のメールに『今、ヒマラヤにいます』という表現があったとして、実際にヒマラヤにいなければ詐欺といえなくもない。その疑問点を裁判で主張すると、即座に『あくまで鑑定士の世界観にもとづく表現なので、現実とは異なる』という規約に書き換えられたことが実際にありました」

 業者側もあの手この手で対策を練り、生き残りに必死。今後も業者とのイタチごっこは続きそうだ。

「登録料や手続費用などの名目で一度に数十万円単位でだまし取られることもあるサクラサイトに比べて、占いサイトの場合はメール1通1500円前後。はじまりは少額なので、被害に気づくまでに時間がかかってしまいます。たとえ被害額が少なかったとしても、怪しいと思った時点で消費者生活センターに相談してみてください」

 誰かに助けてほしいという、被害者の願いを踏みにじる悪質占いサイト。弱っているときほど判断力が鈍るだけに、気づいたら驚くような金額を支払っていた、というような被害者が後を絶たない。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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