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お手軽オーバークロックで5GHz突破にチャレンジしてみました

8086K搭載BTOならベストバイ!? 静音PC「Silent-Master」の実力

2018年06月29日 17時00分更新

文● 宮里圭介 ●編集 ジサトラカクッチ

提供: サイコム

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まずはCore i7-8086Kの基本性能チェック
本当に5GHzまで動作クロックは上昇するの?

 単純にCore i7-8086Kを搭載すれば高性能が出せるのか。まず気になるのはその部分だ。もしかすると、仕様としては5GHzが出せるようになっているものの条件が厳しく、実際は4.7GHz止まりでCore i7-8700Kとまったく同じだった……などという可能性も否定できない。通信速度のベストエフォートみたいな感覚だ。

 もちろん、5GHzというのはターボブースト時の最大クロックなので、常にこの速度がでるわけではないのは当然だ。例えばCore i7-8700Kの動作を見てみると最大クロックは4.7GHzとなっているが、多くの場合は4.4~4.6GHzで変動していて、4.7GHzまで上昇しても短時間だけというのが一般的。更に負荷の高い全コア動かす場合では、最大でも4.3GHz程度までしか上昇しない。これが正常動作だ。

 そんなわけで、まずは素直にCore i7-8086Kの挙動を追ってみよう。このテストに使用したのは、CGのレンダリング速度からCPUの性能を計測するベンチマークソフト「CINEBENCH R15」。CPUの性能は独自スコアの「cb」という単位で表示され、この数値が高いほど高性能となる。なお、テストにあたりマザーボードのBIOSは最新の「Ver.0805」へと更新してある。

マルチスレッドとなるCPUのスコアは1427cb、シングルスレッドのCPU(Single Core)のスコアは214cbとなった。

 この結果だけでは性能が高いのか低いのか分からないため、別PCとなるものの、Core i7-8700Kで計測した結果と比べてみよう。こちらのスコアは、CPUが1427cbとなっており、結果は偶然にも全く同じ。このスコアはCore i7-8700Kとしては高めの値とはいえ、Core i7-8086Kのアドバンテージがほとんどない結果となってしまっている。

 では、Core i7-8086Kは全くの無意味なのかといえばそうではない。注目したいのはシングルスレッドのテストとなる「CPU(Single Core)」のスコアだ。Core i7-8700Kでは204cbだったものがCore i7-8086Kでは214cbまで上昇し、スコアアップは約5%と伸びが大きい。誤差としては大きすぎる差となるため、少なくともシングルスレッドにおいてはCore i7-8086KはCore i7-8700Kよりも高いクロックがで動作しているであろうことは想像に難くない。

 どうせならちゃんと動作クロックが上がっているのを確かめてみたいと思い、「HWiNFO」を使ってCINEBENCH R15を動かしたときの動作クロックをチェックしてみたのだが、マルチスレッドの「CPU」テスト実行時では最大4.3GHz、シングルスレッドの「CPU(Single Core)」テスト実行時でも4.6GHz止まりで5GHzからは程遠い結果だった。

 いくらシングルスレッドでも負荷が大きいとコア温度が高くなりすぎ、動作クロックが下がってしまうのではないかと考えたものの、「ちょうどいい負荷」というのをどうすればいいのか分からず、しばらく悩んでしまった。

 せめてCore i7-8700Kを越えている証拠として、4.7GHzを越えているのを確認したい。そんなことを考えながら、何となくタスクマネージャーで動作クロックでも見てみるかと開いてみたところ、あっけなく4.7GHzオーバーを目撃できてしまった。

他のベンチマークソフトをインストール中、何気なく開いたタスクマネージャーで4.77GHzを目撃。意外とあっけなかった……。

 しばらく眺めていたところ、キャプチャーはできなかったものの4.89GHzまで動作クロックの上昇が確認できた。ようやく、デフォルトのままでもCore i7-8700Kを越えているということを確認できた形だ。

意地でも5GHz動作が見たくなり「OCCT」で負荷テストを続行

 確かに「CINEBENCH R15」は負荷の高いテストだが、負荷が高いときに動作クロックが高くならないのなら意味がない。そこで、違う種類の負荷なら動作クロックがまた変わるのではないかと考え、今度は「OCCT」の「CPU:OCCT」テストを使って試してみることにした。

OCCTの「CPU:OCCT」テストで挙動を確認。スレッド数を変更することで、2種類のテストを試した。

 テスト内容はシンプルで、単純に10分間負荷をかけ続けたときの動作クロックをチェックするというもの。負荷のスレッド数として最大負荷をかける「12」、シングルスレッドの負荷をかける「1」の2つの設定で試してみたところ、「12」では4.3GHz止まりとなっていた動作クロックだが、「1」ではちょいちょい5GHzとなる挙動が確認できた。

「12」スレッドの負荷をかけた場合は4.3GHzでべったり。途中で一度もこのクロックを超えることはなかった。

スレッド数を「1」に限定した場合の動作クロックをグラフで確認。12スレッドと違い、たまに5GHzまで上昇しているのがわかる。

 実は後で気づいたのだが、5GHz動作となるのが短時間に限られているため、「HWiNFO」では5GHzとなる瞬間を検出できなかったようだ。OCCTでスレッド数を「1」にしたテストのままHWiNFOを動かしてみたのだが、なかなか4.6GHzを超える数値は確認できず、15分ほど放置してようやく検出できたくらいレアなものだった。

高負荷時の温度を確認するも、まだまだ余裕がある
余裕があるってことは……やりたいよね

 これで、少なくともシングルスレッド動作時の挙動は確認できた。しかし、気になるのがマルチスレッドで4.3GHz止まりとなっているところだ。本来であればもっと上の性能が出せると思われるだけに、どうにも納得がいかない気持ちがぬぐえない。

 もしかするとすでに高温となっていて余裕がないのかと思い、先ほどのOCCTの結果からCPUの温度をチェックしてみたのだが、最大で74度まであがるシーンはあれどもほとんどが66度以下となっており、温度としてはまだ10度くらい余裕がある結果となっていた。やはり、4.3GHzというのが仕様となっているようだ。

ちょいちょい高温になっているのは気になるが、それでも最大74度。通常66度以下と温度は低い。

 ここまで余裕があるならもっと高いクロックで動いてもよさそうだと思いながら、今度はシングルスレッドの温度を見てみたところ、非常に面白い結果となっていた。理由はわからないのだが、約74度と約81度とを繰り返すような動きになっているのだ。

CPU温度が80度オーバーまで急激に上昇、しばらくして74度まで下がるといった動きを繰り返していた。

 どうも、温度変化の切り替わりのタイミングで5GHz動作を記録していることから、OCCTのテストが負荷の高いものと低いもの2つのテストを繰り返しているように思われる。マルチスレッドになると別のコアに負荷が分散されるため目立たないが、シングルスレッドだとその挙動が明確になるのだろう。

 シングルスレッド時の挙動を見るとこれ以上の高クロック化は難しそうとはいえ、少なくとも、マルチスレッドでは余裕があるのは確か。そこで、空冷クーラーを採用した静音PCでありながら、どこまでCore i7-8086Kのポテンシャルを引き出せるかにチャレンジしてみた。そう、オーバークロックである。

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