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スズキ「中国撤退騒動」の真相、トヨタと連携で局面打開か

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ジリ貧の中国で打開策はあるのか──。鈴木修会長(右)&俊宏社長親子の手腕に注目が集まる Photo:つのだよしお/アフロ

 スズキは中国から全面撤退するのか──。先週、自動車業界でそんな観測が飛び交った。

 発端は15日。スズキは、中国の持ち分法適用会社である江西昌河鈴木汽車(昌河鈴木)に対するグループ持ち分46%を、中国側の昌河汽車に全て譲渡したと発表した。

 この合弁解消は「販売計画台数を達成できず経営的に厳しい状況が続いていた」(スズキ)ことが背景にある。昌河鈴木がスズキブランド四輪車の生産・販売を開始したのは1995年。当時の中国は、年間販売200万台足らずの時代だ。スズキが得意とする小型ワゴン車などはタクシーや公共機関への需要が大きかった。

 だがその後のモータリゼーション化で一般消費者の嗜好が大型車や高級車へ移り、スズキの販売は低迷。一時は10万台規模だった昌河鈴木の生産台数は2017年度に前年度比3割減の1万7000台まで減少した。関係者は「昌河汽車とスズキは開発をめぐって関係が悪化し、スズキは昌河鈴木に新型車をほとんど投入してこなかった。“休眠状態”だった会社の合弁解消は既定路線」と語る。

長安との提携解消を否定

 スズキには中国でもう1社、合弁パートナーが存在する。長安汽車だ。19日、この長安汽車との提携をも解消する協議に入ったとNHKが報じた。

 昌河汽車にとどまらず、長安汽車との提携解消は、スズキが中国から全面撤退することを意味する。スズキは「協議の事実はない」(広報部)と全否定するが、確かにこのタイミングでスズキが全面撤退することに首をかしげる市場関係者は少なくない。

 ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表アナリストは「今の中国はセダンやSUVが中心の市場だが、長期的にはいずれ日本のようにニーズが多様化し、小型車が伸びる成熟市場になる。スズキの車が求められる時代まで耐え忍ぶ経営が必要だ」と指摘する。

 中国政府は今、生産工場の新設許可を厳格化し、群雄割拠する大小の自動車メーカーの整理統合を進めている。そのためスズキが全面撤退すれば、復帰が極めて困難になるのは明白だ。唯一残った長安汽車との合弁解消は、いわば巨大市場への“アクセスチケット”を自ら破棄することになる。

 だが現状、スズキが中国でジリ貧なのは間違いない。そこで昌河汽車との合弁解消に次ぐ打開策と目されるのが、トヨタ自動車との連携強化だ。両社はインドで車両の相互供給を行うが、これを中国に拡大するとの見方がある。また来年始まる電気自動車(EV)などの生産義務付け規制という逆風も、トヨタの傘の下で凌ぐしかないだろう。

 中国で“冬の時代”真っただ中にいるスズキ。果たして“春”の訪れまで耐え忍ぶことができるだろうか。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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