メルマガはこちらから

PAGE
TOP

最強の統計学をビジネスに活かせる、専門スキル不要のデータ分析ツール

不十分な日本のデータ活用に一石を投じるデータビークル

連載
ASCII STARTUP 今週のイチオシ!

1 2 3

「うちはきちんとできている」
という自負のある会社こそ使ってもらいたいツール

 ここまで見るといいことづくめにも思えるが、実際のビジネス現場での理解はなかなか進まなかったようだ。「データ分析」や「ビッグデータ」という言説はこの10年以上、バズワードとして目にするが、その根本、真の価値という部分についてしっかりとビジネスに落とし込まれている事例は見えにくい。

 成功例ほどライバル企業に知らせたくないため表に出ないというのもあるが、それ以上に企業上層部のデータ分析を行うための理解が足りないことも多いようだ。

 数%ほどの売上向上やコスト削減が見込めるということは、売上高100億円規模の事業がであれば、簡単にビジネスメリットが見いだせる。むしろ、気楽に使わないもったいないレベルだ。だが、いくら現場が仕掛けを訴えたところで、「勘と経験に頼ってきた」経営層からは、突拍子もない提案に見えてしまったこともあったようだ。

 「統計学が最強の学問である」というベストセラーの実績があっても、それを実際に現場で使わせるというのは別だった。だが、時代がAIやRPAといった「目に見える新しい実績」を追いかけ始めたことで、ようやくソリューションとしての真価が見えてきた。

 とくに、データ分析とはこうやるものだ、というのが目に見えてわかりやすい。油野氏によれば、優れた営業成績や実績は、本業での弱点や向上心、改善すべき点を隠しがちとなる。そのため、あらゆるマーケ関連で「うちはきちんとできている」という自負のある会社こそ使ってもらいたいツールと言えよう。重要なのは、「気づき」が自社内で獲得できる点にある。

データ分析ツールで海外を目指すデータビークル

 データビークルはこの5月にシリーズBとなる調達を終え、次なる展開を見据える。今後について油野氏は、「とにかく我々は世界で売れるプロダクトを作っていきたい」と海外への進出も視野に入れる。

 現在、アメリカでは13万人、日本では20万人もデータサイエンティストが今後不足するという推計結果もある。1人当たりの年収を単純に掛け算すると、その市場規模は日米だけで4~5兆円に達する。欧州、ASEAN、中国などでも同様にデータサイエンティストが足りていない現状を考慮すると、仮に各国市場のシェアを1割ずつとったとしても2千億円になると試算している。

 「作りたいプロダクトのアイディアならいくらでもあるし、これからいくらでも思いつく自信があった」という西内氏が、BtoBのビジネスをはじめるにあたって、市場で信頼を得ており、まだこの世にないデータ分析支援ツールというこのよくわからないものの価値をわかってくれる人として見初めた油野氏。油野氏は、NTTデータなどでB2Bのソリューションを売ってきた営業面でのプロフェッショナルだ。創業から3年がたち、ソリューション・ツールとしての成熟度合いも整った。

 どこにもなかった独自のソリューションとして、日本の地場から、そして世界のデータ分析シーンを変えていくことに期待したい。

●株式会社データビークル
2014年11月設立。「難解なITツール」「ビッグデータがもたらすデータ整備の煩雑化」「打ち手を考えられる人材不足」という課題を解決を目指す。統計学を駆使したデータ分析ツール「Data Diver」やデータサイエンス専用変換ツール「Data Ferry」を提供する。
資金調達面は、シリーズBまですでに完了。
スタッフ数は2018年6月時点で8名。

1 2 3

合わせて読みたい編集者オススメ記事

バックナンバー