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「被害者のふり」をして攻撃してくる人にはどう対処すればいいか

2018年06月20日 06時00分更新

文● 片田珠美(ダイヤモンド・オンライン

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“被害者ぶる人”からターゲットにされそうになったら?
“被害者ぶる人”のターゲットにされそうになったら、まずやってほしいのは反論

被害者のふりをして、誰かを攻撃したり、何らかの利得を得たりする人、つまり“被害者ぶる人”が増えている。そこで、前回は“被害者ぶる人”とはどんな人なのかを明らかにし、3つのタイプを紹介した。今回は“被害者ぶる人”から自分の身を守るための対処法を提案したい。(精神科医 片田珠美)

 もしあなたが“被害者ぶる人”のターゲットにされて、加害者に仕立てあげられそうになったらどうすべきか。そもそも、ターゲットにされないためにはどうすればいいのか。“被害者ぶる人”から身を守るための対処法を4つ提案したい。

(1)自分を厄介な相手と認識させる
(2)敬語で自分の身を守る
(3)一対一にならない
(4)ときには突き放す冷酷さが必要

(1)自分を厄介な相手と認識させる

 “被害者ぶる人”のターゲットにされそうになったら、まずやってほしいのは反論である。

 たとえば「あなたのミスで、こちらまで被害を受けた」と向こうが主張したとする。相手の言うことが全面的に正しいなら、素直に謝ればいい。 しかし、まったくの事実無根だったり、誇張されている部分があったりしたら、面と向かって反論しよう。

「私のやったことがあなたの仕事に影響を与えたとは思いません。何かの誤解ではないですか?」

 実際のところ、こうして反論しても“被害者ぶる人”が主張を引っ込める可能性は低い。 いくらこちらの主張が論理的に正しくて客観的な裏付けがあったとしても、向こうは適当にごまかして、被害を受けたと繰り返し主張するだけだろう。

 では、議論にならないとわかっているのに、なぜ反論するのか。それは「私は与(くみ)しやすい相手ではない」「私に絡むと、痛い目に遭うのはあなたのほうだ」というメッセージを言外に伝えるためだ。

 というのも、“被害者ぶる人”が狙い撃ちするのは、基本的に弱い人だからである。具体的には、大人しくて従順な人、あるいは職場や家庭の人間関係で立場の弱い人がターゲットになりやすい。

 こういうタイプは、責任転嫁の相手としてうってつけ。責任をなすりつけられても、騒ぎ立てるどころか、不和や葛藤をできるだけ避けようとして、寛大な態度で受け止めることもある。“被害者ぶる人”からすれば、 被害者のふりをしたいときに安心して責任転嫁できる相手なのだ。

 “被害者ぶる人”が弱い人を狙う理由は単純だ。相手に反撃する力がなく、好きなだけ被害をでっちあげたり誇張したりすることができるからだ。だから、与しやすい相手を選んで、軽く攻撃して様子を見る。そして、相手が反撃してこなければ、攻撃をさらにエスカレートさせる。

 したがって、“被害者ぶる人”から狙われていると感じたら、泣き寝入りせずにきちんと反撃する姿勢を早い段階で示したほうがいい。反論すれば、「これ以上つけいらせないぞ」という意思表示になる。議論で負かすことが目的なのではなく、向こうに「こいつをターゲットにすると厄介だぞ」と思わせるために反論するのである。

(2)敬語で自分の身を守る

 “被害者ぶる人”に反論するときは、乱暴な言葉を使わず、礼儀正しさを前面に押し出すことを徹底したい。 たとえば、次のような言い方で声を荒らげてはいけない。

「ウソをついているのはおまえじゃないか! とぼけるつもりか?」
「ミスを私のせいにするな。失敗したのは、おまえがバカだからだ」

 このように乱暴な言葉遣いで問い詰めると、最初の問題はいったん棚上げされて、「ひどい言い方で脅された」「誹謗中傷されて傷ついた」と、被害者のふりをする材料を新たに与えてしまう。

 これでは逆効果なので、反論するときの言葉遣いは、できるだけ丁寧なほうがいい。

「何か記憶に間違いがあるのではないですか」
「私は自分の仕事を100パーセントこなしました。結果が出なかったのは、あなたのやり方に問題があったからでしょう」

 内容は辛らつだが、このように丁寧に伝えれば、少なくとも言葉尻をとらえられることはない。“被害者ぶる人”は新たに被害者を装う材料を常に探しているので、こちらが丁寧な言葉遣いをする必要がある。そうすれば、反撃しつつ守りを固められる。

 敬語なんて堅苦しいと考える方がいるかもしれないが、敬語は危険物を触るときの手袋のようなものだ。“被害者ぶる人”は取扱注意の危険物であり、素手で触るとケガをする。 かといって無視するわけにもいかない。その点、敬語は相手との間に適度な距離感をつくってくれる。この距離感が、“被害者ぶる人”から自分の身を守る鎧になることをお忘れなく。

(3)一対一にならない

 “被害者ぶる人”とのトラブルで怖いのは、「言った」「言わない」の水掛け論だ。“被害者ぶる人”は、しばしば「あなたの指示のせいで失敗した」「暴言を吐かれた」などと、話をねつ造したり盛ったりするからだ。それに対して「いや、そんな指示を出した覚えはない」「暴言なんて吐いてない」と言っても、埒(らち) が明かない。

 そういう事態を防ぐためには、まず相手と一対一にならないことだ。とくに密室での一対一は避けること。必ず第三者がいるところで話せば、トラブルになったときに真実を知る証人を確保できる。また、第三者がいれば話のねつ造が難しくなるので、抑止力としても働くはずだ。

 ただ、“被害者ぶる人”と一対一にならないように気をつけていても、“被害者ぶる人”は「あのとき少しだけ呼び出された」などと話をつくるおそれがある。 また、たまたま一緒になり、周囲に誰もいないという状況も起こりうる。その瞬間をとらえて「廊下ですれ違いざまに暴言を吐かれた」などとウソをつくかもしれない。

 結果的に「言った」「言わない」の水掛け論になったとき、その場を左右するのは周囲の人たちのジャッジであることが多い。だから、普段から周囲の人たちとコミュニケーションをしっかりとって、信頼関係を築いておくことが大切だ。誠実で信頼できる人物だという評価が固まっていれば、“被害者ぶる人”が被害をでっちあげても、周囲は「あの人がそんなことを言うはずがない」と味方になってくれるはずである。

(4)ときには突き放す冷酷さが必要

 “被害者ぶる人”への最善の対策は、なるべく近寄らないことである。

 ただ、こちらが神経を使って接していても、“被害者ぶる人”はささいなことで、「あのせいで自分はつらい思いをした」と騒ぎ立てる。騒がれたらエスカレートさせないように反論することが大切だが、反論には多大なエネルギーを必要とする。だから、因縁をつけられる前に予防するのが理想であり、そのためにはできるだけ接点を減らして攻撃材料を与えないようにするしかない。

 友人関係なら、関係を断つこと。“被害者ぶる人”は、「友達なら頼みを聞いてくれてあたりまえ。 それなのに断るなんてひどい」と、友人関係であることを利用して攻撃してくる。ときには「友人だから本音が言える。あなたのここがダメだ」と、友人であることを不当な攻撃の免罪符にすることさえある。

 “被害者ぶる人”は、自分が受けた被害を訴えながら弱々しい素振りを見せるので、何とかしてあげたくなるかもしれないが、同情は禁物。そのうちに、あなたから受けた被害を強調しながら、あなたを責めるようになりかねない。だから、相手が“被害者ぶる人”だと気づいたら、割り切って距離を置くべきだ。

 自分の身を守るためには、ときには突き放す冷酷さが必要なのである。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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