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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第564回

公園猫「チロ」との思い出写真

2018年06月16日 10時00分更新

文● 荻窪圭/猫写真家

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久しぶりに会ったチロ 逃げるようになっていたが……

 その公園、一時期猫が10匹以上いて、古株はもう20歳になろうというくらい昔から猫が多かったのだが、老齢猫は亡くなり、交通事故で亡くなる猫もあり、里親が見つかって引き取られる猫もあり(そのうち1匹は私の友人が引き取ってのほほんと暮らしている)、猫ボランティアさんやその仲間が引き取った猫もありで、2010年あたりから数が減りはじめ、私も以前ほど足を運ばなくなっていたのである。

 そのせいか、あれだけ人なつこかったチロも近寄ると逃げるようになってしまったが、どういうわけかこの時だけは私の膝に飛び乗ってきたのであった(前ページ冒頭写真)。

 横から見るとこんな感じ。

膝に乗っかってぬくぬくしてるチロ。膝に乗ってくれたのはこのときが最後だった(2012年12月 オリンパス XZ-2)

膝に乗っかってぬくぬくしてるチロ。膝に乗ってくれたのはこのときが最後だった(2012年12月 オリンパス XZ-2)

 チロにはもうひとつ特徴があった。太りやすいのである。

 会うたびに丸くなっていて、いつかおなかを引きずりながら歩くんじゃないかと皆で笑ってたほど。

まるまるとしておなかを引きずりそうなチロ。正面からだとわかりづらいが、おなかはふくふくである(2015年2月 オリンパス Stylus 1)

まるまるとしておなかを引きずりそうなチロ。正面からだとわかりづらいが、おなかはふくふくである(2015年2月 オリンパス Stylus 1)

 やがて、古くから公園に住みついてた猫は、里親に引き取られるか事故で亡くなるかし、残るは若いチロだけとなった。

 そしてチロを最後に見たのが今年の1月、雪が降った翌日である。

 デジカメのレビュー用作例を撮りに公園に行ったら、積もった雪の中に、チロがちょこんと座ってたのだ。

 良く見ると、座ってるところは公衆トイレの軒下の雪が積もってないところなんだけど、そこでにゃあと鳴いたのである。

 相変わらず鼻筋に傷を作り、胸元は何があったのか毛が抜けて赤くなってたけど、しばらく見つめあってたら近寄ってきて、撫でさせてくれた。

チロを最後に見たのは雪の中だった(2018年1月 パナソニック LUMIX DC-G9)

チロを最後に見たのは雪の中だった(2018年1月 パナソニック LUMIX DC-G9)

 もう公園へ行ってもチロに会うことはない。

 って書くとなんか湿っぽい話になりそうだが、実はそんなことないのである。

 風の便りによると(って、この公園で出会った猫ともだちがTwitterで教えてくれたんだが)、猫ボランティアさんが引き取ったのだ。晴れて飼い猫になったのである。

 かくして、そこは猫のいる公園ではなくなった。

 里親に引き取られて猫がいなくなるというのは地域猫の終焉としては理想的であるのだが、ちと寂しくもあるのであった。

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筆者紹介─荻窪圭


著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/


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