久しぶりに会ったチロ 逃げるようになっていたが……
その公園、一時期猫が10匹以上いて、古株はもう20歳になろうというくらい昔から猫が多かったのだが、老齢猫は亡くなり、交通事故で亡くなる猫もあり、里親が見つかって引き取られる猫もあり(そのうち1匹は私の友人が引き取ってのほほんと暮らしている)、猫ボランティアさんやその仲間が引き取った猫もありで、2010年あたりから数が減りはじめ、私も以前ほど足を運ばなくなっていたのである。
そのせいか、あれだけ人なつこかったチロも近寄ると逃げるようになってしまったが、どういうわけかこの時だけは私の膝に飛び乗ってきたのであった(前ページ冒頭写真)。
横から見るとこんな感じ。
チロにはもうひとつ特徴があった。太りやすいのである。
会うたびに丸くなっていて、いつかおなかを引きずりながら歩くんじゃないかと皆で笑ってたほど。
やがて、古くから公園に住みついてた猫は、里親に引き取られるか事故で亡くなるかし、残るは若いチロだけとなった。
そしてチロを最後に見たのが今年の1月、雪が降った翌日である。
デジカメのレビュー用作例を撮りに公園に行ったら、積もった雪の中に、チロがちょこんと座ってたのだ。
良く見ると、座ってるところは公衆トイレの軒下の雪が積もってないところなんだけど、そこでにゃあと鳴いたのである。
相変わらず鼻筋に傷を作り、胸元は何があったのか毛が抜けて赤くなってたけど、しばらく見つめあってたら近寄ってきて、撫でさせてくれた。
もう公園へ行ってもチロに会うことはない。
って書くとなんか湿っぽい話になりそうだが、実はそんなことないのである。
風の便りによると(って、この公園で出会った猫ともだちがTwitterで教えてくれたんだが)、猫ボランティアさんが引き取ったのだ。晴れて飼い猫になったのである。
かくして、そこは猫のいる公園ではなくなった。
里親に引き取られて猫がいなくなるというのは地域猫の終焉としては理想的であるのだが、ちと寂しくもあるのであった。
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筆者紹介─荻窪圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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