続いてはAdobe「Premiere Pro CC 2018(PPCC)」の起動時間を比較する。アプリを起動し「ファイルを開く」ダイアログが出るまでの時間を計測する。これもCrystalDiskMarkと同様に起動して計測したらすぐ起動し計測……というサイクルを5回実施している。
この計測方法だとシステム側のキャッシュに蓄積されてしまうが、どのタイミングで時間短縮が止まるかを見ていただきたい。HDDおよびSSD単体時の時間は、計測後再起動し、キャッシュによる高速化効果が期待できない状況での時間を5回計測し、その平均値を採用している。
予想どおり初回の起動時間はHDD単体並に長く、2回目からシステム側のキャッシュに入るためすぐ起動が終わる。SSD単体でも連続して起動させれば10秒台の数値になるため、特にSSDが低速という訳ではない。
次はPUBGこと「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」の起動時間と、「ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター」公式ベンチで計測できる“ローディングタイム”も比較しよう。PUBGは起動してから服を着たプレイヤーの姿がロビー画面に表示されるまでの時間、FF14ベンチはベンチ終了時に提示される数値をそのまま採用している。これも起動→終了のサイクルを5回連続で行なった時の推移を追跡している。
ゲームにおいても初回起動時はHDD単体並に長い。2回目はかなり時間が短縮するが、3回目以降の値に比べるとわずかに長い。
ここまでのデータからわかるのは、おおよそ2〜3回程度起動すれば、StoreMIによる高速化の恩恵が発揮されるということだ。もちろんFast Tier側ドライブの利用状況などで変わる可能性もあるが、StoreMIはかなりアグレッシブにファイルの再配置を行なっていると考えられる。
ここまでのテストでいい感じにデータがキャッシュされたようなので、改めてStoreMIで構築したTierドライブの性能がHDDやSSD単体時と比べどの程度速いか遅いかをチェックしてみよう。
以降の数値は各テストを1回ずつ実施し、再起動というサイクルを5回繰り返し、各数値の平均を求めた。システムのキャッシュにも入らず、StoreMIのキャッシュ効果だけでどの程度高速化したかをチェックしたい。OSの起動時間とは、OS上で再起動を選択してから、デスクトップに復帰するまでの時間としている。
SSDがあらゆるテストで最速なのは当然として、StoreMIで組んだTierドライブの効果は思いの他高い。特にアプリやゲームの起動時間はSSD並に短縮されたといってよいだろう。Premiere Pro CCの起動時間短縮効果がずば抜けて高い(むしろHDDだけが異様に長い)のは、PPCCが起動時に細かいファイルを多量に読み込むスタイルであるからと推測できる。
ただOSの起動時間はHDD単体時に比べ20秒強しか高速化していない。これは起動時にStoreMI独自の起動処理をしているためだ。
CrystalDiskMarkは結果をすべて載せると冗長になるので、シーケンシャル(QD32T1)とランダム4K(Q1T1)の結果だけ抜粋してグラフ化した。これも5回の平均値である。
CrystalDiskMarkでもTierドライブはほぼSSDに近いパフォーマンスを出している。ただライト性能(特にSeq Q32T1)は時々落ち込むことがあるため、SSD単体時に比べやや平均では劣る値となった。とはいえ、HDDプラスαの容量を保持したままSSD並の性能を確保できるというのは非常に魅力的な話だ。
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