このページの本文へ

ネスレが無料食事診断サービス、「健康」分野で抱く野望

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
提携を発表するネスレの高岡浩三社長(左)とアクサのニック・レーン社長
提携を発表するネスレの高岡浩三社長(左)とアクサ生命のニック・レーン社長。食品企業と保険会社の提携は世界初という Photo by Akira Yamamoto

「健康寿命」をキーワードにヘルス事業を着々と展開するネスレが、新たな施策に打って出る。

 ネスレ日本は28日、栄養素入りの抹茶カプセルの定期購入サービス「ネスレ ウェルネス アンバサダー」で、メッセージングアプリのLINEを通じ、食事写真の解析と栄養アドバイスを行う新たなサービスを発表した。

 食事を撮影した写真をLINE上で送信すると、メニュー内容を自動で解析して不足しがちな栄養素を割り出し、食事のアドバイスやウェルネスアンバサダーの商品の提案などを行う。食事診断サービスは無料で利用可能だ。

 ウェルネスアンバサダーは、専用のマシンで抽出する抹茶飲料の定期購入サービス。簡単な質問に答えることで、10種類以上ある様々な栄養素入りのカプセルから最適な商品が提案され、抹茶を楽しみながら足りない栄養を補うことができる。今回のLINEでのサービスでは、個々の栄養状況を細かく分析することで、よりパーソナライズ(個別化)された提案が可能となるという。

 だが、このサービスはネスレにとって、入り口に過ぎない。ネスレの真の野望、それはヘルスケアプラットホームという新たな枠組みの構築だ。

「ウェルネスアンバサダーの利用者を母体にして、様々な健康企業と提携をしていく。まずは親しみやすく楽しんで利用できる食事診断のサービスを無料で提供することで、プラットホームの土台をつくる」と、ネスレのEコマース本部津田匡保部長はその狙いを語る。

 その例が、同時に発表されたDNA・血液検査サービスとの連携だ。定期購入者向けに提供する検査サービスを利用することで、生活習慣病リスクや遺伝的な疾病リスクを把握し、希望者に対しては食事アドバイスなどの提案にも活用する。

「各企業が持っている健康データは断片的で、例えば検査のデータと食習慣のデータなどを組み合わせて提案につなげることなどは企業単独では難しい。データの束ね役をネスレが担っていくことで、より個々に最適なサービスの提供をしていく」(同)という。

 さらに保険会社のアクサ生命保険との提携も発表。アクサ生命が持つデータ解析の知見を活用するほか、ネスレが持つデータを駆使して新たな専用保険商品などの開発につなげたい考えだ。

 今後も複数の企業との提携を模索するという。例えば、健康に欠かせない「運動」では、フィットネス分野での提携や、オフィスアンバサダーを活用した、オフィス内でのフィットネス器具の展開といった構想にも津田部長は触れる。

 ネスレはかねてより、「栄養・健康・ウェルネス企業」を標榜し、海外のネスレグループでも、健康領域へのM&Aや事業展開を加速してきた。ほかのヘルスケア企業と異なり、身近な食品企業であるネスレは、消費者との距離が近く多くの接点が持てることが強みとなる。

 ネスレが単なる食品企業から、データプラットホーマーとして優位性を持つヘルス企業へと脱皮できるか。今回のサービスはその試金石となろう。

(週刊ダイヤモンド編集部 山本 輝)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ