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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第461回

いまさら聞けないIT用語集 ビットコインの根幹となるブロックチェーン

2018年06月04日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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ブロックチェーンの欠点は
データ転送に時間がかかること

 ここまで説明してきた通り、ブロックチェーンそのものは耐改竄性が高く、またすべての仕組みが自動でできるので技術的には管理者も不要(置くこともできる)、取引記録を秘匿化可能(公開させることも可能)、といろいろ便利な点もあるが、欠点もある。

 まず、激しいトランザクションに耐えられない。ブロックチェーンの場合、すべてのユーザーがブロックを共有するため、ブロックを1個追加するのにけっこうな時間がかかる。ビットコインの場合、1回のビットコインの転送にはおおむね10~20分を要する。

 これについてはいろいろ改善の方法なども提案されているが、基本的に参加者が多ければ多いほど時間がかかる構図に間違いはないので、広く使れていくに従ってどんどん遅くなる。たとえばカードの決済に10~20分かかっていたらユーザーが使わなくなるのは自明で、こうした取引には向かない。

 またブロックチェーンは改竄されたかどうかは判断できても、そのデータが正しいものなのかどうかは一切関与しないので、データの正当性そのものは別の手段で担保する必要がある。

 またネットワークと少なからぬ計算パワーを要するのも事実で、このあたりも普及を妨げる要因となっている。技術的にはスマートフォンに楽に実装できるが、実際の運用を考えると、特に外出時には激しくバッテリーとパケット通信量の残量が減るだろう。したがって、今のところは固定回線を持った、PCあるいはサーバーなどでの利用がメインとなると思われる。

 技術的な欠点としては、参加者がそれほど多くないブロックチェーンにおいては、悪意を持った参加者が猛烈な勢いでブロックを追加すれば、改竄されたブロックを正当なものとして承認させるという力技が有効になる。実際モナコインの場合、改竄が発生して巻き戻しを余儀なくされている。

 これについてもいくつか改善の提案はなされているが、それぞれ副作用があることもあって、今のところ決定的な解決法は見つかっていない。

データが正しく伝えられたかどうかはわかるが
そのデータの中身が正しいかどうかはわからない

 つまるところブロックチェーンとはなにか? といえば、利用者の立場から見て実社会で一番近いのが、日本郵便の提供する「内容証明郵便」である(実装の仕組みは全く異なるが)。

 内容証明郵便は、その郵便の中身が正しく相手に伝えられた、もしくは受け取られなかったことを日本郵便が担保してくれる仕組みである。中身が正しいかどうかはともかく、間違いなく伝わることが保障されるあたりが、ブロックチェーンに一番近い。

ブロックチェーンとは、内容証明郵便のデジタル版に近いものといえる

 というわけでイッペイ氏は、ショップから内容証明郵便を受け取るような羽目にならないように、2つ目のCore i9-7980XEを早急に購入すべきだと思う(もちろん冗談だが)。

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