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ゴジラから日比谷を守れ! HoloLensを活用したMR「ゴジラ・ナイト」

2018年05月26日 16時00分更新

文● MOVIEW 清水、編集●南田ゴウ/ASCII編集部

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 開業30周年を迎え、リニューアルした日比谷シャンテと、新たに開業したミッドタウン日比谷によって生まれ変わった日比谷で、東宝とマイクロソフトがタッグを組み、Microsoft HoloLensを活用した日本初のMixed Realityコンテンツ「ゴジラ・ナイト」が期間限定で開催される。

迫力ある映像と現実世界が融合する「ゴジラ・ナイト」

 イベントに先駆けてメディア向け内覧会が開催され、東宝×マイクロソフトの取り組みである未来型消費体験「Future Retail」と「ゴジラ・ナイト」についての説明会と体験会が実施された。

 なお、内覧会では最初に東宝専務取締役の太古伸幸氏と米Microsoft General Manager Mixed Reality Studiosのロレイン・バーディーン氏が挨拶。太古氏は「今後の経営戦略としてゴジラを中心としたキャラクタービジネスを強化し、グローバルに展開していく」と語った。ロレイン氏は「日本はゴジラをはじめとするキャラクターで世界中の人気を得ており、最先端のテクノロジーも使いこなせる創造力と情熱をもっている。今回HoloLensを使った屋外での体験でゴジラに会えるのを楽しみにしている」と、初めての試みとなる「ゴジラ・ナイト」への期待を示した。

画像左から、東宝 専務取締役の太古伸幸氏、不動産経営部 東宝日比谷ビル営業室長の安武美弥氏、米Microsoft General Manager Mixed Reality Studiosのロレイン・バーディーン氏、日本マイクロソフト 業務執行役員Microsoft 365 ビジネス本部本部長の三上智子氏、業務執行役員 クラウド&エンタープライズ本部本部長の浅野智氏

ゴジラ迎撃作戦に参加する「ゴジラ・ナイト」

 Mixed Realityコンテンツ「ゴジラ・ナイト」を、日本マイクロソフト業務執行役員 Microsoft 365ビジネス本部本部長の三上智子氏が解説。実際の物理世界と、ネットワークなどのデジタル世界を融合した世界をMixed Realityと呼んでいると説明。三上氏は「この世界では空間すべてがキャンバスになる」と語る。

 ARが物理世界にデジタルな要素を加えるのに対し、VRはすべてがデジタルな世界で、Mixed Realityはその両方をサポートする。デジタルの分量はユーザーの実現したい内容に応じて変更できる。

AR・VRとMixed Realityの関係性

 Mixed Realityの世界を実現するMicrosoft HoloLens(以下HoloLens)は、PCに接続せずに使える、世界初の自己完結型ホログラフィックコンピューターだ。Windows 10を搭載しており、アプリケーションを利用することも可能だ。

Microsoft HoloLensを手に解説する三上氏

 そして、このHoloLensを使ったMixed Realityコンテンツが「ゴジラ・ナイト」だ。5月24日~29日の6日間限定で行なわれる「ゴジラ・ナイト」では、日比谷ゴジラ迎撃作戦 戦略会議に参加。その後、日比谷に現れたゴジラをミサイルで迎撃する実行フェイズが行われる。

 戦略会議では、巨大不明生物特設災害対策本部の一員としてゴジラの進路や武器の情報を確認する。時刻フェイズでは、Azureの音声認識を使い、音声による指令でミサイルを発射し、ゴジラを迎撃することになる。

戦略会議室に置かれたHoloLens。装着して他のHoloLensを見ると「隊長」、「隊員」と、誰のHoloLensかが表示されたりする

戦略会議室内のテーブル。HoloLensをつけない場合は地図と模型しかない

HoloLensを装着することにより、ゴジラの進路や武器の情報などが3D表示される

戦略会議のイメージ。映画「シン・ゴジラ」よりも未来の会議風景だ

迎撃作戦の様子。日比谷に誕生したゴジラスクエアにステージが作られている

HoloLensを装着すると、ビルの間から出現するゴジラの迫力映像が見られる

「ミサイル発射」と叫ぶと、音声認識によりミサイルが発射され、ゴジラを攻撃する

 ここで使用されている映像はもちろん東宝が製作したものなので、迫力満点の映像が楽しめる。「ゴジラ・ナイト」はすでに抽選が終わっており、これから参加することはできないが、ステージ近くで体験者が見ている映像を見ることができるほか、新ゴジラ像といっしょに写真撮影ができるフォトブースが用意されている。開催は5月29日(火)までで、開催時間は18:30から21:00まで。

東宝×マイクロソフトによる
テクノロジーとエンターテインメントの融合

 この春開業30周年を迎えてリニューアルされた日比谷シャンテは、66店舗が営業するショッピングタウン。ここではMicrosoft AzureのAIを活用した、近未来の消費体験ができる「Future Retail」が実施される。日本マイクロソフト業務執行役員クラウド&エンタープライズ本部本部長の浅野氏によると、「Future Retail」ではコンシェルジュ、リアルタイムレコメンデーション、レジレスの3つの仕組みを、AI、IoT、クラウドを活用した形で実現しているとのこと。

 まずコンシェルジュは、デジタルサイネージの前に立ったユーザーの年齢、性別、表情を「Cognitive Service」のAIが分析し、ユーザーに合う映画の予告編を放映する。

「Future Retail」のコンシェルジュでは、ユーザーにあった映画予告編を自動的に放映する

コンシェルジュの実際の様子。女性がデジタルサイネージの前に立つと、上部につけられたカメラでユーザー情報を取得し、最適と思われる映画の予告編を放映する

 映画を見に行った際に上映される予告編を機会に次に見る映画を決めるユーザーが多いが、このソリューションでは、他のユーザーの年齢層や家族構成、性別といったものから好まれる映画を学習してレコメンデーションされることになる。多くのユーザーは、自分のことをAIが客観的に見ているときに「このように見られているんだ」という新しい発見になることをおもしろいと感じるそうだ。

 次にリアルタイムレコメンデーション。「ユーザーが飲食店を選ぶ基準では、72%のユーザーが入店に待たないことという理由で選んでいる」と語る浅野氏。それよりも、自分が食べたいものと待ち時間で選択できるようにするシステムが、このソリューションになる。日比谷シャンテ内の飲食店のイスやカメラなどにセンサーを取り付け、どの店にどのくらいのユーザーがいて、待ち時間がどのくらいになるのかをリアルタイムでデジタルサイネージに表示する。

「Future Retail」のリアルタイムレコメンデーションでは、飲食店の混み具合などをリアルタイムでデジタルサイネージに表示する

店舗の混み具合が表示された実際のデジタルサイネージ

 3つ目はレジレス。このソリューションでは注文0分、会計0分、待ち時間0分を実現し、待ち時間なしでスムーズに飲食、支払いも電子決済によりレジに並ばなくて済むようになる。日比谷シャンテではリンガーハットがこのソリューションを導入している。

「Future Retail」のレジレスの仕組み

 ユーザーは飲食店の近くに行き、自分のスマホからあらかじめ商品を選び、テーブルについたら注文を行う。スマホは商品ができたときにベルとしても使われ、商品を受け取った瞬間、電子決済によって決済も完了するという仕組みだ。クレジットカードなどの電子決済ではなく、現金で支払うことも可能だ。

自分のスマホ内で注文する

決済も電子決済で行えば、レジでお金を支払う必要がなくなる

店舗のイスなどに取り付けられているIoT機器。これにより、店内の混雑状況などの情報を送信している

 また、このソリューションでは「Microsoft Translator」を使って12ヵ国語に翻訳することができるため、外国人観光客用に外国語メニューを用意する必要がなくなるほか、注文データや集客データ、天候などの情報を蓄積し、翌日の予測などを立てることができる。この予測によって、過剰な在庫を持つ必要がなくなるなど、店舗側のメリットも大きい。


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