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音楽制作スタジオの意見も取り入れたチューニング

Olasonicの新スピーカーは、とても3万円とは思えないいい音

2018年05月17日 14時00分更新

文● 小林 久 編集●ASCII

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プロの耳を通したチューニング

 開発に当たっては「プロの耳」も参考にした。製品をスタジオに持ち込み、安室奈美恵や今井美樹、福山雅治など著名アーティストの音源制作を手掛けている、ミキサーズラボの内沼映二会長や三浦瑞生社長の意見を反映した音質チューニングを施したという。

 発表会で登壇した内沼会長は「音楽制作の感性を盛り込んだ製品になった」とコメント。ミキサーズラボでは、これまでもパナソニックのカーナビ「ストラーダ―」シリーズの音質チューニングを手掛けてきた。そのノウハウも生かせたとする。10年ほど前、最初にパナソニックと協業をした際のエピソードにも言及した。「エンジニアが音をフラットに調整した製品を持ってきたが、とても聞けたものではなかった。音楽表現に必要な、躍動感・空気感・音色感が表現するためには、単純にフラットな特性を選べばいいというわけではない」と当時の思い出を振り返った。

 IA-BT7については「三浦と一緒に思い通りの音作りができた」とする。「20Wの出力だが、その予想を上回る立派な音が実現できた」「Bluetoothも高音質にはどうかと懐疑的だったが、実際にやってみたら結構いけるね」などと感心した様子も示していた。

内沼映二氏

山本喜則氏

 SOZOデザインの山本喜則代表取締役CEOは、2010年に東和電子がOlasonicブランドを立ち上げた際に社長を務めていた人物だ。「創立して2年の新しい会社だが、Olasonicやソニーのメンバーが主体になって作ったベテランの多い会社でもある」と簡単に自社を紹介したうえで開発の経緯を紹介。「企画が立ち上がった昨年当初は、スマートスピーカーの開発を意図していた」が、海外市場の動向を見ながら、数千円の単価では、高音質を実現するために必要なコストに見合わないという判断に至った点や、利便性の高さがある一方で、スマートスピーカーの音質に不満を感じている層が多い点などを考慮しながら、高音質なBluetoothスピーカーの開発に移行したとした。

 IA-BT7のこだわりは、Bluetoothモジュールを新規に開発したことだと書いた。普通なら中国や台湾のメーカーが提供する部品を調達して載せるところだが、音質面では不満が残る。そこで高音質を得るために自社で新規に取り組もうと考えた。開発経験のない中、周囲の意見などを聞きながらゼロベースでのスタートとなった。

 「簡単にできるという人もいれば、大変だからやるものではないという人もいた。結局、答えが出なかったが、がんばってやってみた。結論としては、やはり、やめておいたほうがよかったというのが正直なところ(笑)。非常に大変だった。しかし結果として非常に音のいいBluetoothモジュールが作れたと思う」と、自信を示した。

メイン基板(左)とBluetoothモジュール(右)。Bluetoothモジュールはメイン基板の左上に。

 東和電子からインターアクションへと、事業主体が変わったが、IA-BT7のできを見る限り、Olasonicが足掛け9年にわたって作り上げてきた、手に入れやすい価格と小型サイズ、そして高音質というコンセプトは変わっていないと実感できた。スマートスピーカーや定額ストリーミング配信など、音楽再生の環境も少しずつ変化がみられるが、その時代を適切にキャッチアップしながら、良質な製品を届ける同ブランドの活動には期待できそうだ。

試作した筐体。中央が採用されたものだが、仕上げはいろいろ試したそうだ

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