このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

山谷剛史の「アジアIT小話」 第154回

アフリカで大躍進! 世界5位の中華スマホメーカー「伝音」のスマホを入手

2018年05月17日 12時00分更新

文● 山谷剛史

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

中国アプリとアフリカのアプリが初期導入済み

 ハードウェアはエチオピア産という以外はごくごくスタンダードである。そこでソフトウェアを中心に見てみる。

CamonCXの初期設定。見慣れない言語が並ぶ

CamonCXの初期設定。見慣れない言語が並ぶ

 初期状態では英語だが、カスタムROMの「HiOS」セットアップの途中で中国語ほか、アフリカ各地の言語にも変更が可能。日本語の設定はない(SimejiやWnnなどのインストールは可能だ)。

 また、指紋設定など初期設定を行なう中で、国と都市の選択をするが、これまた選べるのはアフリカや中東諸国ばかりであり、中国はない。

 とはいえ言語設定を中国語にすると、中国製カスタムROMらしく違和感のない中国語が画面に表示され、新しい中華スマホのように触ることができる。

 中国メーカーの製品とはいえ、GoogleやGmail、GoogleMap、YouTubeのほか、FacebookやInstagram、WhatsAppがプリインストールされているので、さまざまなアプリを後からインストールするのは難しくはない。

英中入力アプリ「触宝輸入法」(TouchPal)

英中入力アプリ「触宝輸入法」(TouchPal)

鳳凰閲覧器(フェニックスブラウザー)では検索エンジンで百度も選べる

「鳳凰閲覧器」(フェニックスブラウザー)では検索エンジンで百度も選べる

 加えてデフォルトでユーティリティーアプリ「手机大師」、英中入力アプリ「触宝輸入法(TouchPal)」、ブラウザーの「鳳凰閲覧器(フェニックスブラウザー)」といった中国のアプリと、伝音のサポートセンターのアプリ、ユーザーコミュニティー掲示板アプリがインストールされている。

ユーザーコミュニティアプリ

ユーザーコミュニティアプリ

 ユーザーコミュニティーアプリに関しては初期設置でナイジェリアやエチオピアなどの国と購入機種やサッカーなど関心分野を設定することでスレッドを絞って表示できる。またユーザーに向けたキャンペーン情報も掲載される。

ECアプリ「Packsell」

ECアプリ「Packsell」

アフリカ発のニュースアプリ「Eagleee News」

アフリカ発のニュースアプリ「Eagleee News」

 さらに、アフリカ向けローカライズのプリインストールアプリとして、アフリカ各国の音楽が聴けてミュージックビデオが見られる「Boomplay」や、ケニアなどで展開されているECアプリ「Packsell」、ナイジェリアやケニアなどアフリカ発のニュースアプリ「Eagleee News」なども導入されている。

ナイジェリア発アプリストア「Palmstore」

ナイジェリア発アプリストア「Palmstore」

エチオピア商業銀行のモバイルバンキングアプリ「Commercial Bank of Ethiopia」

エチオピア商業銀行のモバイルバンキングアプリ「Commercial Bank of Ethiopia」

 そのほか、(各種サイト情報によると)ナイジェリアなどで人気となっているというSNSアプリ「PalmChat」やナイジェリア発のアフリカ向けアプリストア「Palmstore」、エチオピアのアムハラ語入力アプリ「fynGeez」、エチオピア商業銀行のモバイルバンキングアプリ「Commercial Bank of Ethiopia」もインストールされている。

上からスワイプするとこのような画面がでる

上からスワイプするとこのような画面がでる

 補足すると「Packsell」と「Commercial Bank of Ethiopia」は、現地の電話番号で登録する必要があり、海外の電話番号では閲覧すらできない。また「Palmstore」を活用すれば、Google関連のアプリやFacebookなどのインストールやアップデートが本来できない中国でも可能となる。

専用ケースを装着してプレーヤーや懐中電灯になるギミックを用意

 触ってみた感想は、ハードウェアとしては一般的な中華スマホではあり、カスタムROMもデザインが中国製品らしく、異文化感はないのだが、とはいえプリインストールアプリは中国の押しつけはない。

 それでいて未経験のアフリカ各国の音楽が聴けて、アフリカのアプリを知り、掲示板からスマホ事情を知るきっかけとなる面白いスマートフォンだと感じた。

 アフリカ各国向けの設定が可能で、アフリカ各国向けアプリがインストールされていて、購入者による交流掲示板が用意されていて、コンサートなどの購入者キャンペーンも行なわれている。

 統計によるとアフリカ各国でノンブランドの山寨スマートフォンが流通しているそうだが、伝音製品はそれより値段が少々高くても魅力的に映るのではないだろうか。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場」「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 」(星海社新書)。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン