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AIやドローン活用で農薬1/10・売値3倍「スマート枝豆」の革新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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虫食いの葉を探すオプティムの映像解析技術
虫食いの葉を探すオプティムの映像解析技術。大豆で得たノウハウをコメや野菜に応用する 写真提供:オプティム

 人工知能(AI)やドローンなどのテクノロジーが、“儲かる農業”の実現に本格的に貢献し始めている。

 ハイテク企業が農家と提携して生産した農産物を高値で販売し、その収益を企業と農家が分け合う「レベニューシェア」が広がっているのだ。

 これまでは、農家が農業機械などに投資しても、必ずしも所得向上にはつながらず、「機械貧乏」という言葉さえあった。

 新たなビジネスモデルでは、農家にドローンなどを提供する企業が機器のレンタルといった“手段”から対価を得るのではなく、農家が育てた農産物の販売額、つまり“結果”から利益を上げる。

 この事業モデルに取り組むのがベンチャー企業、オプティムだ。

 オプティムはドローンを畑の上に飛ばし、AIによる映像解析で虫食いの葉を見つける。そこにピンポイントで農薬を散布して害虫を駆除する。

 2017年に1ヘクタールの畑で行った実証試験では、10分の1以下の農薬使用量で通常の栽培と同量の大豆を収穫できた。

 農薬を極力使わない安全・安心な「スマートえだまめ」として販売したところ、通常の3倍の価格にもかかわらず完売したという。

 農家にとっては農薬代の削減と収入増という二重のうまみがある。

 この実績を踏まえ、オプティムは18年、同様の事業モデルを本格展開する。具体的には農家にドローンなどを無償提供し、農家が作った大豆やコメなどを買い取る。オプティムはそれをデパートなどで販売し利益を出す。

 このプロジェクトのパートナーを募集したところ、農家から問い合わせが殺到した。最終的に、応募した農家は200人に上った。

 農家にとって良いことずくめの事業モデルだがリスクもある。最大の課題は農産物の売り先の確保だ。農産物を高く売れなければ事業モデルが成立しない。有力な流通業者との提携が鍵になりそうだ。

輸出で活路見いだす例も

 販路を海外に求めて、課題を解決しようとするベンチャー企業もある。ドローンを使ったコメ作りを支援し、できたコメをドバイに輸出するドローン・ジャパンだ。

 勝俣喜一朗社長は「国内だけでは価格競争になる。輸出して農家の収入を増やし、増収分から料金をもらうのが理想だ」と話す。

 コメが育った田園風景の空撮映像を海外の富裕層に見せると、「高級なコメを買ってくれる」と手応えを得ている。中国などで販路を開拓中で、19年産米で50トンの輸出を目指す。

 こうしたハイテク企業の事業が拡大すれば、農機や農薬を売るだけで、農家の所得という結果には責任を持ってこなかったメーカーや農協はじり貧になる。既存の農業関連企業も事業モデルの転換を求められるだろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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