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SBI主導の邦銀仮想通貨連合から地銀が一斉離脱した理由

2018年04月25日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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 SBIグループが主導し、3メガバンクを含む最大61行の邦銀が加盟していた「内外為替一元化コンソーシアム」。仮想通貨「リップル」の技術を使い、安価で高速な送金プラットフォームの開発を目指すこの連合に今、異変が起きている。

 今年3月末、千葉銀行や伊予銀行(愛媛県)、十六銀行(岐阜県)、武蔵野銀行(埼玉県)、筑波銀行(茨城県)、オリックス銀行など11行が、連合から離脱していたことが分かったのだ。

3月7日に発表された個人間送金用アプリの「マネータップ」。りそな銀行など3行が実用化を進めている Photo:JIJI

 3月7日に個人間送金用スマートフォンアプリを発表し、今夏以降の実用化を掲げたばかりの邦銀連合。加盟行たちは、仮想通貨の基盤技術である「ブロックチェーン」を使った送金手段が誕生し、国際送金など高コストで時間もかかる既存のインフラを代替することに期待を寄せていたはずだ。いったい何が起こっているのか。

「加盟していても会費だけ取られて実入りがなく、意味がないから離脱を決めた」

 関東地方のある地方銀行幹部は、そう吐露する。低金利環境で業界全体が業績悪化に陥る中、4月に会費が月額30万円から60万円に倍増したという。

 一方、連合に残った別の第二地銀幹部も「再加盟には入会金1000万円が必要だから継続を決めた」と、連合には不満たらたら。

 だが、最大の問題は別にある。「仮想通貨は価格変動が大きく、銀行送金に使われては困る」と両幹部は口をそろえた。

勘違いだと訴えるSBI

 この指摘をSBIは「誤解だ」と訴える。どういうことか。

 例えば、国際送金で円からドルに交換する際に仮想通貨を用いる場合、通常は円からリップルに交換し、それをドルに交換するというふうに、間に仮想通貨をかませることになる。

 確かに、この連合もそうした送金手段の開発を進めているが、「実現するとしても遠い未来」(SBI関係者)の話だという。

 実際、前出のスマホアプリなど実用化が進んでいるものは違う。二つの銀行口座間で資金を移動し、ブロックチェーンを使って記帳することで高速送金する仕組みであり、「仮想通貨をかまさず送金できる」(SBI幹部)からだ。

 同幹部は、多くの地銀による“勘違い”だと主張する。背景には「銀行の既存の送金インフラを担うITベンダーが、誤った情報を吹き込んでいる」とぶちまける。

 ただし、仮想通貨をかまさず、口座間の資金移動で送金する手段は口座の維持費用が掛かる。それ故、「北尾(吉孝SBIホールディングス社長)はリップルをかませる手段を推している」(前出のSBI関係者)のも事実だ。となれば、そうした将来を見据えて地銀が離脱した可能性も否めない。

 乱高下する仮想通貨の価格と同じように、邦銀連合も混乱に陥っている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 田上貴大)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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