このページの本文へ

ご近所の猫飼いさんに世話を頼める、飼い主マッチングサービスが登場

2018年04月19日 06時00分更新

文● 吉田 由紀子(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ご近所同士をマッチングして
猫の世話を頼めるWEBサービス

1人暮らしの永井淳美さんは、猫のお世話をし合える「nyatching」に登録して、留守時の不安が軽減した

 福岡市の永井淳美さんは、現在1歳半のオス猫と一緒に暮らしている。1人暮らしなので仕事で急な出張があると、猫を置いて家を空けることになってしまう。

「以前は2泊以上の出張になると、猫が寂しい思いをしていないか、トイレやごはんは不足がないかと心配になっていました」

 こんな不安を抱えていた永井さんだが、あるサービスを知って、今は安心して外出ができるようになった。永井さんがモニターとして参加しているのが、nyatching(ニャッチング)というWEBサービスだ。ご近所の飼い主同士が互いに猫の世話をし合えるサ―ビスである。

 nyatching は今年2月22日、猫の日にスタート。現在は試験版での運用だが、登録は可能だ。まず飼い主と飼い猫の情報を入力。猫の年齢、性別、種類、性格、生活環境、住所などのプロフィールと写真を登録する。そうすると近隣エリアで猫を飼っている人が自動的に表示される。気になる相手がいれば、フェイスブックの友だち申請にあたる「マーキングボタン」をクリック。双方がマーキングすれば、マッチングが成立する。

「やむを得ない事情で家を留守にするとき、猫の世話の心配が軽減できました。また、近所の飼い主さんとの繋がったことで、体調の相談ができ、他の猫ちゃんとのコミュニケーションが可能になりました。今は家の中だけで生活する猫が多いですが、こういった体験ができたのは大変喜ばしいです」(永井さん)

 今は猫の世話を依頼してばかりの状態だが、今後は積極的に周囲の方々のお世話もしたい。助け合いの精神で、たくさんの猫の安心に繋がれば、と永井さんは考えている。

ペットホテルやシッターよりも
頼れるのは近所の猫飼いさんたち

株式会社nyans代表取締役・谷口紗喜子さん。目指すのは、ペットの殺処分ゼロの世界。その第一歩としてnyatchingを立ち上げた

「飼い主さんの自由ですが、実際に会ってみて相性や生活環境を確かめた方が安心できると思います。そうやって交流を深めていけば、信頼関係も築くことができ、家を留守にする場合、ケガや病気になった場合でも助け合うこともできます」と話すのは、このサービスを立ち上げた株式会社nyans代表取締役・谷口紗喜子さん。

 小さい頃から犬や猫を飼っていた動物好きの谷口さん。社会人になり1人暮らしをしながら猫を飼っていたが、毎月出張があり、その度に預け先に困っていた。

「最初は動物病院やペットホテルに預けていましたが、犬や他の猫と一緒に過ごさなくてはなりません。狭いケージに入れられるためストレスが多く、震えながら帰ってきたこともありました。ペットシッターも利用してみましたが、1回数千円の費用がかかってしまいます。猫を飼っている近所の友人に世話を頼めたら良いのでは?と考えたのです」(谷口さん、以下同)

 nyatchingは、今のところ東京23区内と福岡市のみのサービスだが、今年中には全国展開を行う予定だ。スタートからまだ間もないが、遠方の方から全国展開をしてほしいという要望も届いている。

 現在は、利用手数料の要らない「フリー会員」のみだが、今後は、猫を預けた際の保険が付いた「プレミアム会員」も新設する予定だ。ケガや病気の相談を24時間体制で受け付けるので、飼い主にとっては心強いサービスになるだろう。

「今後は、猫を飼っていないけど猫が好きな方、このサービスがあれば飼いたいという方も参加できるようにしていこうと考えています。飼い主同士の新しいコミュニティをつくり、 困ったときにお互いに猫を世話し合える関係を構築していきたいです」

高齢で孤立しがちな飼い主にも
ご近所さんは心強い

 ペットを飼っていて困るのは、単身のビジネスパーソンや高齢者である。近所に知り合いもなく、相談相手がいない飼い主も少なくないだろう。犬のように毎日散歩をさせる必要がなく室内で飼えるので、高齢者は比較的、猫を選ぶことが多い。しかし、高齢になると、いつ病気になるかわからない。飼うことが難しくなってしまい、やむなく保健所に連れていく飼い主もいるが、そういう悲しいケースを少しでも減らすことにつなげていきたいと谷口さんは話す。

「まず最初に挑むのは“ペットの殺処分ゼロの世界”です。日本では年間5万匹のペットが殺処分されています。なぜ殺処分が起こるのか。その要因が日本にはたくさんあります。私たちはその一つひとつの要因を、テクノロジーの力を使いながら解決していきたいと考えています。コミュニティを通して互いに支えあえば、猫の殺処分もゼロにできると思います」

 一般社団法人ペットフード協会の調査によると、全国の家庭で飼育されている犬は892万頭、猫は952万6000頭である(2017年12月時点)。これまでは犬の方が多かったが、昨年末に初めて猫が上回った。猫に関するマーケットは拡大しているが、その分、適切なサービスは少ないのが現状である。需要に供給が追いついていないのだ。

 調査では、飼い主の要望として「あったらいいと思う飼育サービス」の第1位が旅行中や外出中の世話代行サービス、2位は「高齢で飼育不可能な場合の受入施設提供サービス」となっている。

 5月下旬に本格的な運用が始まる予定のnyacthing。1人暮らしでも、年をとっても、いつまでも猫と仲良く暮らせる。そんな社会を目指してスタートを切る。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R))


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ