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リコーが複合機で過去最大の赤字、打開策なしの深刻な事情

2018年04月02日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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赤字転落を発表する山下社長。かつて桜井正光元社長(現特別顧問)が敷いた、M&Aにより複合機ビジネスで世界トップになる戦略が逆回転しはじめたリコー。打開策は多くない Photo by Yoko Suzuki

 オフィス複合機首位のリコーが白旗を揚げた格好だ。2008年に約1700億円で買収した米国のオフィス機器販売会社、アイコン社などの資産を減損し、18年3月期に1700億円の当期損失を計上する。創業来最悪の赤字幅となる。

 リコーはオフィス用複合機の主戦場であるA3カラー機の販売台数で世界シェア首位の企業。今回の危機を招いた原因は、首位のはずの複合機事業の弱さと、さらにそれを補う他の事業がないことだ。

 キヤノンによる東芝メディカルシステムズ、富士フイルムホールディングスによる米ゼロックスなど、競合他社の大型M&Aが喧伝されるが、実は業界でその先陣を切っていたのはリコーだった。

 1995年から08年までにリコーが行ったM&Aは合計4000億円を超え、その中でも最大のものが、当時世界最大の独立系事務機ディーラーのアイコン社だった。当時は有力海外販社を傘下に収め、売り上げ台数を伸ばすことが成長に直結した。

 だが現在では、ペーパーレス化が進み複合機販売台数は頭打ちだ。しかも、一度販売すればその後安定的に利益をもたらし続けてくれた消耗品事業も、利益率の低下が止まらない。その結果、かつて成長の源泉と見なされていたアイコン社の減損処理を余儀なくされた。

 そもそも、リコーの複合機事業の収益性は他社に比べても低い。リコーの同事業のセグメント総資産は、今回アイコン社などで約1800億円を減損した後でも2兆円を超え、営業利益は828億円(17年3月期)。だが、富士フイルムは半分の資産1兆1154億円でほぼ同額の営業利益827億円(同)を、キヤノンは総資産9617億円で営業利益1695億円(16年12月期)を同事業で稼ぐ。リコーの低収益性は際立つ。

借金は多く現金は少ない

 リコーの危機は、揺らぐ一本の大黒柱を支える柱が他にないことだ。キヤノンがネットワークカメラや医療機器、富士フイルムが医薬事業などに買収対象を広げていったのと対照的に、リコーのそれはほぼ複合機分野だけだった。

 リコーは17年3月期末時点で、複合機事業のセグメント営業利益が連結営業利益339億円を大きく上回る。つまり、カメラ事業などその他の事業の赤字を複合機で埋めている状態なのだ。新規事業を育成しつつあるキヤノンや富士フイルムからは周回遅れの状態だ。

 山下良則社長は「企業買収を含む新規事業への投資を行う」と言うが、キャッシュリッチな同業他社と比べ、リコーにはその金がそもそもない。リコーの現預金から有利子負債を差し引いたネットキャッシュは17年3月期末時点でマイナス7246億円に達しているからだ。本業の立て直しと周回遅れの新規事業の育成。リコーに立ちはだかる壁は高い。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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