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三菱製紙、嫌がる王子に資本提携を応諾させた粘り腰の大金星

2018年02月20日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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経営再建中の三菱製紙に約100億円を投じる王子ホールディングスの矢嶋進社長(左)。ほくほく顔の三菱製紙の鈴木邦夫社長(右) Photo:JIJI

 過去18年間、自ら墓穴を掘り続けて経営が迷走した三菱製紙の鈴木邦夫社長が、まさかの高評価を得ている。

 2月6日、国内製紙最大手の王子ホールディングスは、実質的に経営再建中の三菱製紙に33%出資して持ち分法適用会社にする方針を発表した。王子HDは約100億円もの大金を投じて三菱製紙の筆頭株主になるも、議決権は3分の1未満に抑え、三菱ブランドは維持される。原材料の共同調達や、国内外の生産拠点の統廃合までを視野に入れた協働を進めていく。

 以前から、業界首位の王子HD(2018年3月期の連結売上高予想1兆5000億円)と、同6位の三菱製紙(同2010億円)は業務提携を進めてきた。

 最近では、16年3月に国内最大級のバイオマス発電所を共同運営する新会社(19年7月に稼働予定)を立ち上げ、17年6月にはティッシュなどの家庭紙事業で新会社(19年4月に稼働予定)を設立している。鈴木社長は、業務提携の既成事実を積み重ね、粘りに粘って資本提携にまで持ち込んだ。

 社内に対して、鈴木社長は「現時点で、三菱製紙が取り得る最良の方策であると信じております」という主旨の長文のメッセージを発した。同社は、社長3代に亘(わた)って低迷を続けてきたが、ようやく一筋の光明(こうみょう)が差したことになる。

今度こそ成長できるか

 ここまでの道のりは、茨(いばら)の道だった。2000年より、三菱製紙は旧北越製紙(現北越紀州製紙)と合併する前提で業務・資本提携を進めていたが、05年に中越パルプ工業との合併に乗り換えて、結局は破談に至る。北越製紙との関係は冷え込んだが、14年になって今度は北越紀州製紙と販売子会社同士の合併協議が持ち上がった。

 ところが、警戒したライバルの大王製紙が三菱製紙との本体同士の統合をちらつかせて急接近したことから、三菱製紙の鈴木社長は揺れた。最終的に、北越紀州製紙と2度目の破談に至る(大王製紙の筆頭株主は北越紀州製紙なのだから、もとより無理な話である)。

 単独での生き残りが難しかった三菱製紙は、断続的なリストラに追われて死(し)に体(たい)だったが、技術力だけはあったことから王子HDに近づく。当初、王子HDは嫌(いや)がっていたが、業界全体で地盤沈下が進行する中では選(よ)り好みもできなくなってきた。

 かつて、王子HDの主力だった洋紙事業は、今期の業績予想で売上高2950億円に対し、営業利益はたった13億円とまるでもうかっていないのである。今では、全社的な経費削減と称して「紙の会社案内」を制作していないほどなのだ。

 とはいえ、三菱製紙は大組織の王子HDと組むことで、自分たちでは得られない当面の安定性を手にできた。鈴木社長は、今度こそ成長路線を描けるか。8期連続の無配を続ける中で、残された時間は長くない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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