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初めてのビットコイン確定申告、利益は「雑所得」で他の所得と通算

2018年02月16日 06時00分更新

文● 森山 健(ダイヤモンド・オンライン

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仮想通貨の所得は「雑所得」

 今年も確定申告の季節が来た。2017年1月1日から12月31日までの期間における所得税額を、2018年2月16日から3月15日までに、最寄りの税務署に行ったり、自宅から国税庁の「e-Tax(イータックス=国税電子申告・納税システム)」で電子申告して確定させる。

 2018年の確定申告の注目は、何といっても、ビットコインを中心とする仮想通貨に関わる確定申告をする人が続出するということだ。

 2017年のビットコイン相場は、ほぼ上昇一辺倒だった。2017年4月時点の1ビットコイン当たり約13万円から、同年12月中旬に1ビットコイン当たり約230万円まで、約18倍に駆け上がっていった。2018年に入ると、1月下旬にコインチェックが保有していた仮想通貨が外部攻撃で流出した「コインチェック騒動」もあり、2月には一時1ビットコイン=60万円台にまで急落した。ただし、ひとまず、確定申告について見ると、2017年1月~12月の期間における申告なので、コインチェック騒動は関係ない。

 2018年の確定申告は、確定申告を取り仕切る国税庁にとっても、事実上の「初めてのビットコイン確定申告」となる。国税庁がビットコインと課税に関する見解を初めて示したのは、2017年8月28日のことである。

 国税庁はホームページに「ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係」という短い文書を掲載した。この文書によると、ビットコイン投資で出た利益は「所得税の課税対象」となると示し、確定申告の「雑所得」の欄で申告する必要があることを明記したのである。

 つまり、ビットコインなどの仮想通貨で得た所得は、所得税で定める10種類の所得(「(1)利子所得」「(2)配当所得」「(3)不動産所得」「(4)事業所得」「(5)給与所得」「(6)退職所得」「(7)山林所得」「(8)譲渡所得」「(9)一時所得」「(10)雑所得」)のうち、最後の「雑所得」に分類されるということになった。

 国税庁によると、「仮想通貨は所得税上で、最初の9種類に分類されないので『雑所得』扱いに決めた。外貨から日本円に換えて利益が出る場合と同じ」と説明している。つまり、例えば、海外旅行で安い時に買った米ドルが値上がりし、その後日本円で換金した際に20万以上利益出ると、申告納税の必要があるのと同じというわけだ。

“儲け”が20万円以上あれば申告が必要

 では、ビットコイン取引において何が課税され、申告する必要があるのか。

 国税庁は2017年12月1日、ビットコインなど仮想通貨の売買に伴う課税について、より詳細に書いた「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」を公表している。

 結論から言うと、ビットコインだけではなく、イーサリアムやリップル、ビットコインキャッシュなども対象で、コインチェック騒動でおなじみになったNEM(ネム)も含め、あらゆる仮想通貨で得た「利益」が対象となる。

 その利益が20万円を超えると、サラリーマン(年末調整済みの給与所得者)であっても、確定申告が必要となる。逆に言うと、年末調整済みのサラリーマンでビットコインなどの仮想通貨で20万円も儲けていない人は、確定申告をする必要がない。

 対象となるのは、ビットコインなどの仮想通貨を売却した場合だけではない。その仮想通貨でモノやサービスを買ったりした場合には、その支払い時点でビットコインを売却して換金した扱いとなり、所得金額の計算が必要となる。

 実際に、大手仮想通貨取引所のビットフライヤーが提供するスマートフォン向けアプリは、ビックカメラなどの家電量販店でも使える。また、レストランやメガネ店でもビットコイン支払いへの対応ができるところもある。国税庁はこうした物品・サービスの購入で20万円以上儲けた人にも、課税の“網”をかける意向なのである。

 その一方で、ビットコインなどの仮想通貨を買ったが一度も売っていない場合、その仮想通貨で支払いもしていない場合など、“塩漬け”している場合は確定申告をしなくてもよい。

所得金額の計算方法は

 次に、ビットコインの所得金額の計算の仕方を説明しよう。国税庁が示したその計算式はこうだ。

売却価額-1ビットコイン当たりの取得価額×支払ビットコイン=ビットコインの所得金額

 事例を作って、仮想通貨を売却した場合を見ていこう。

 例えば、Aさんは2017年3月9日に200万円(手数料込み)で、10ビットコインを購入し、2017年11月26日に1ビットコインを100万円で売却した。この場合、「雑所得」の所得金額の計算に落とし込むとこうなる。

100万円-(200万円÷10ビットコイン)×1ビットコイン=80万円

 つまり、Aさんの場合は、ビットコインの所得金額は80万円となり、確定申告が必要となる。

 ビットコインなどの仮想通貨でモノを買った場合もその所得額を計算しないといけない。ビットコインでモノを買った場合、買った時点で、ビットコインを売却したということになる。

 例えば、Bさんは2017年3月9日に200万円(手数料込み)で、10ビットコインを購入した人が、2017年10月上旬、1ビットコイン当たり50万円だった時に、15万円の薄型テレビを約0.3ビットコインで買った場合はどうか。その計算式はこうなる。

15万円-(200万円÷10ビットコイン)×0.3ビットコイン=9万円

 Bさんは、買ったビットコインがその後約5倍に値上がりしたため、15万円の商品を6万円で買えたことになる。そして、計算上も所得税の所得金額も9万円ということになる。

いくら取られるか?195万円以下なら所得税率は5%だが

 では、実際にいくら税金で持っていかれるのだろうか。その税率は、一律約20%の負担となる株やFXの利益とは違い、所得金額に応じて5%から45%まで、7段階となっている。詳細は以下の通りである。

 例えば、前述の事例で、ビットコインの売却で80万円の所得金額となったAさんの場合、以下の計算式となり、4万円が課税される計算となる。

80万円×5%=4万円

 また、ビットコインの売却で200万円の所得金額が出た人の場合は、以下の計算式となり、10万2500円が課税される計算となる。

200万円×10%-9万7500円=10万2500円

ただし実際には給与収入によって負担額はさらに増える

 しかしながら、前述の税額計算では給与所得があることを加味していない。実際の税額計算においては、「総合課税」といって他の所得も合算して税額を計算する。したがって、サラリーマンで年収400万円の人と1000万円の人では負担税率も変わってくるという仕組みだ。

 さらにややこしくなるが、「給与収入」と「給与所得」とはイコールではない。複雑なので、ここでは詳細は割愛するが、給与の場合、給与所得控除という控除が引けるので、仮に給与収入が400万円の方は給与所得が266万円、給与収入が1000万円の人は給与所得が780万円と算定され、この所得がベースとなり、仮装通貨にかかる所得(利益)を加算する形となる。

 したがって、税負担の増加(実質的な負担)という観点だとビットコインで80万円の所得がある人は、給与収入400万円の場合で9万6000円の税額アップ、給与収入1000万円の場合で18万4000円の税額アップと2倍近く税負担額が変わる。

 同様に、ビットコインで200万円の所得がある人は、給与収入400万円の場合で33万6000円、給与収入1000万の人だと54万円もの税負担増加となってしまう。

 利益に対する税負担率も計算してみたので参照してみてほしい。

その他に住民税10%の負担も

 さらには忘れてはならないのが住民税だ。具体的には市民税とか区民税という名称で翌年の6月から1年にわたり給与から天引きされている税金である。

 こちらの税率は、所得税とは別途約10%の負担となっている。したがって、ビットコインで80万円の利益を出した人は上記の負担額に8万円、200万円の利益を出した人は20万円の追加の税負担がある。これは3月の確定申告の後、6月以降に請求されるので非常に負担が大きい。

* * *

 2018年のビットコイン相場を見ると、急落が続いている。2018年1月~12月にどのような仮想通貨投資の成果が上げられるかは、まだ相場が不透明なため分からない。仮に年末にかけて再度上昇して、その中で利益確定をして、所得金額が20万円以上となれば、2019年2~3月に確定申告が必要となる。

(経済ジャーナリスト 森山 健)

監修:中川保弘(税理士、トライデント会計事務所代表)
静岡県出身。明治大学経営学部経営学科、明治大学大学院政治経済学研究科修了。複数の会計士事務所や税理士法人での勤務を経て、2012年、トライデント会計事務所(東京・千代田区)を開設。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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